株式や為替、金利や債券、コモディティなど原資産価格の過去一定期間における変化率の平均値から求められます。
統計学における標準偏差のことです。
日本の株式市場におけるヒストリカル・ボラティリティには日経平均HVがあります。
日経平均HVは日経平均株価を対象として日本経済新聞社が算出・公表しているものです。
過去20日間の日経平均株価の毎取引日における変化率から算出されます。
この指標は日経平均株価の変動の激しさを表しています。
過去20日間の騰落率(変化率)に基づいて、年間の営業日数である250日間に換算した年率の数値で示されます。
この指標は過去の指数値から計算するためヒストリカルと呼ばれています。
日経平均HVは市場の小さな動きが続くと下がり、激しい変動が起きると上がります。
ヒストリカル・ボラティリティは過去の値動きから現在の値動きを予測するのに使われるのが一般的です。
算出する際には20日間もしくは30日間の期間が用いられるケースが多く見られます。
日次の標準偏差を年率換算する際に年間の営業日を250日から260日と考えるのが通常です。
そのため250から260の平方根を因数として乗じます。
ヒストリカル・ボラティリティが低い場合は、相場が変動する力が溜まってきていると考えられています。
これから変動が起こると考えられるため、ヒストリカル・ボラティリティが低いとポジションを決定するのに適した時期であるとされます。
ヒストリカル・ボラティリティが高い商品と低い商品を組み合わせることで、リスク分散を図る投資手法も存在します。
インプライド・ボラティリティ(IV)は予想変動率とも呼ばれます。
株式や為替、金利や債券、コモディティなど原資産価格の将来の変動率を予測したものです。
インプライド・ボラティリティという用語は主にオプション取引で使われます。
市場参加者が期待している将来の価格変動を表す指標です。
現在のオプション価格から将来の変動率を予測します。
インプライド・ボラティリティはヒストリカル・ボラティリティと現在のオプション価格に基づいて、諸条件を設定した上で算出されます。
現在のオプション価格から逆算して求めるのが特徴です。
一般的な実務ではブラック・ショールズ・モデルを使って計算します。
以下はブラック・ショールズ方程式の解です。
オプション価格を決める要素は6つあります。
権利行使価格と原資産の市場価格、決済日までの残存期間、原資産の配当利回り、短期金利、ヒストリカル・ボラティリティです。
ヒストリカル・ボラティリティは過去のデータに基づいて算出されたオプション価格の変動率を表しています。
これらの6つのデータを使えば、オプションの理論価格を算出できます。
一方で、現在の市場におけるオプション価格は、市場参加者の将来の期待を織り込んだ上で形成されています。
ヒストリカル・ボラティリティを使って算出した価格が過去のデータに基づく理論値です。
実際の市場で形成されている価格は、現在の市場参加者の期待を表すインプライド・ボラティリティに基づいていると考えられます。
今、権利行使価格と原資産の市場価格、決済日までの残存期間、原資産の配当利回り、短期金利が決まっており、市場においてオプションがある価格で取引されているとします。
これらの数値を利用すれば、現在におけるインプライド・ボラティリティを逆算することが可能です。
ブラック・ショールズ・モデルは原資産価格の変動率を一定と仮定するのが通常です。
しかし最近では変動率が時間とともに変化するという考え方が主流になっています。
モデル・フリー・インプライド・ボラティリティは原資産価格の変動率の変化を許容する概念です。
インプライド・ボラティリティはオプション価格がどのように変化したのかを数値化したもので、市場参加者の将来の予想が反映されています。
オプション取引におけるテクニカル分析の指標の1つです。
インプライド・ボラティリティが高い→価格変動しやすいと考えられる→市場参加者が将来の値動きに安心感を持つ→オプション価格が高くなる
インプライド・ボラティリティが低い→価格変動がしにくいと考えられる→市場参加者が将来の値動きに不安感を持つ→オプション価格が安くなる

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