オプション取引におけるカレンダー・スプレッドについて

・オプション取引におけるカレンダー・スプレッド

カレンダー・スプレッドは限月間スプレッドやホリゾンタル・スプレッド、タイム・スプレッドなどとも呼ばれます。

同一種類の金融商品で満期が異なるものの買いと売りを組み合わせた取引のことです。

オプション取引では通貨や権利行使価格、種類が同一のもの満期(権利行使期間)が異なるものを組み合わせます。

カレンダー・スプレッドでは権利行使価格がともに30円で限月(満期)が3月(期近)と6月(期先)の権利(コールオプション)を売り買いするというような形になります。

コールオプションとは将来の期日に商品を購入する権利です。

オプション取引では先物取引のように直接的な商品(先物)の売買が行われるのではなく、買う権利(コールオプション)や売る権利(プットオプション)の売買が行われます。

先物取引では期日に必ず決済をしなければなりません。

しかしオプション取引では将来の期日における商品の価格が権利行使価格と比較して不利な場合、権利を放棄することができます。

3月決済の買う権利を売り、6月決済の買う権利を買った場合、3月に先物価格が権利行使価格よりも低いと価値がないので権利は行使されません。

6月決済の買う権利には時間的価値があります。

・オプションの価値を決める時間的価値と本質的価値

時間的価値とは権利行使期間までのオプション契約の残存期間の価値です。

決済までの期間が長いほど、オプションの価値が高くなります。

時間的価値:決済までの残存期間の価値(ボラティリティと金利の影響も受けます。)

オプション取引における現在の価値は本質的(本源的)価値と呼ばれます。本質的価値は権利行使価格と市場価格の差額です。

本質的価値:権利行使価格と市場価格の差額

・オプションの価値を表すオプション料

オプション取引では権利を確保するための対価としてオプション料(プレミアム)と呼ばれる手数料を支払います。

オプション料は本質的価値と時間的価値によって構成されます。

オプション料:本質的価値+時間的価値

オプション取引では予想通りに相場が動けば権利を行使して利益を得ることができます。

反対に予想に反して不利な状況になった場合は、権利を放棄し損失を回避することが可能です。

先物取引と異なり将来のリスクを回避できる仕組みとなっています。

この仕組を利用するにはオプション料を支払わなければなりません。

オプション料はオプションの価値を表しています。

オプションの価値を決める要因は現在の市場価格と権利行使価格、満期までの残存期間、ボラティリティ、金利です。

ボラティリティとは将来における金融商品の価格変動姓を意味します。

オプション取引では一定期間において価格がどの程度の変動特性を持つかということを表しています。

権利行使価格が900円の商品を購入する権利は、市場価格が1000円であれば100円の本質的価値があります。

900円で1000円のものを購入できるので、100円の利益が発生します。

権利行使価格が1000円の場合は市場価格と同じなので、本質的価値は0です。同様に権利行使価格が1100円の場合も本質的価値は0になります。

1000円のものを1100円で購入すれば100円の損失が発生します。

コールオプションは放棄して損失の発生を回避できるので、本質的価値は0となります。

オプション取引では相場が不利な状況の場合、権利を放棄することができます。

この場合はオプション料のみ無駄になりますが、取引をしなくてよいのでそれ以上損失は発生しません。

遠い将来ほど予想するのは困難なため、取引を行うリスクも高くなります。

しかしオプション取引では自分に不利な場合は権利放棄が可能です。

満期までの残存期間が長いほど損失を回避しつつ利益が得られるタイミングを待つことができます。

そのため残存期間が長いオプションほど時間的価値が高まります。

オプション取引でカレンダー・スプレッドを行う場合、期近の権利を売って期先の権利を買います。

期近の満期日における先物価格が権利行使価格より低い場合、価値がないため権利は行使されません。

この場合、期近の満期の際にはオプション料を含む売買による差額に損失が限定されます。

期近の満期日における先物価格が権利行使価格より高い場合は、期近・期先両方の権利が行使されることになります。

権利行使価格が同一なので、売買による損益は相殺されます。

期先の権利は残存期間があるので時間的価値が大きくなります。

・オプション取引と他の取引におけるカレンダー・スプレッドの違いとは

先物取引などで行われる一般的なカレンダー・スプレッドでは、割高な商品を空売りして割安な商品を購入します。
期近物を売って期先物を買うのがスプレッド買い、期近物を買って期先物を売るのがスプレッド売りです。

スプレッド買い:期近→売り、期先→買い
スプレッド売り:期近→買い、期先→売り

しかしオプション取引では期近物を売って期先物を買う取引(スプレッド買い)のみが行われます。

オプション取引におけるオプション料は本質的価値と時間的価値によって構成されています。

本質的価値は現在の市場価格と権利行使価格の差額です。

この2つの価格の差額は、将来的に有利にも不利にも動く可能性が存在します。

ただし満期までの残存期間が長いほど市場価格が有利に動くことを期待できます。

時間的価値は満期までの残存期間が長いほど高くなり、満期に近づくほど低下します。

一定の割合で低下するのではなく、満期に近いほど急激に下がります。

オプション取引における権利には、時間的価値が満期に近づくほど低下するという特徴が存在します。

そのため期近物の現在の価値は満期と比較して割高と考えられます。

割高な商品は将来的に値下がりすると考えられるので、オプション取引におけるカレンダー・スプレッドでは期近物が空売りされることになります。

一方で割安な商品には価値が上がる可能性があるため期先物が買われます。

空売りされた割高な期近物が予想通り値を下げ、購入した期先物が値上がりすれば利益が発生します。

カレンダー・スプレッドでは2つの商品の価格差が縮小するほど利益が大きくなります。

もし空売りした期近物が値上がりすれば損失が発生しますが、購入した期先物が予想通り値上がりしていれば利益が出るので、損失を相殺できます。

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