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個人向け国債と新窓販国債

個人向け国債を購入できるのは個人だけで法人は購入できません。

新窓販国債ならば購入者の制限がないので、法人やマンションの管理組合などでも購入できます。

販売価格は個人向け国債が額面金額100円につき100円ですが、新窓販国債は入札結果に応じて発行ごとに財務省が決定します。

いずれも金融機関などで購入できます。

新窓販国債は平成19年10月から販売が開始された国債です。

新しい窓口販売方式で発行されており、郵便局だけでなく民間金融機関でも購入できます。

以前は郵便局のみで一定期間・価格で募集する一種の委託販売が行われていました。

新窓販国債では委託販売方式が民間金融機関にも拡大されています。

基本的な性質は入札で発行される国債と同じです。

個人向け国債には満期が10年と5年、3年のものがあります。

これらのうち10年ものだけが変動金利で他は固定金です。

新窓販国債の満期には10年と5年、2年のものがあり、満期に関わらず全て固定金利です。

個人向け国債には0.05%の下限金利がありますが、新窓販国債には下限金利が設定されていません。

償還金額はいずれも額面金額100円につき100円です。

個人向け国債の金利は10年ものだと基準金利に0.66を掛けて算出します。

5年ものと3年ものはそれぞれ基準金利から0.05%と0.03%を引きます。

基準金利の意味は満期によって異なります。

10年ものだと直近10年債平均落札利回りです。

5年ものと3年ものはそれぞれ5年債と3年債の想定利回りが基準金利とされます。

新窓販国債の金利は直近の入札により発行した国債と同じです。

個人向け国債は発行後1年を経過すればいつでも国の買取によって中途換金できます。

元本割れのリスクはありませんが、換金時には直近2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額が控除されます。

発行後1年間は原則として中途換金ができません。

新窓販国債は中途換金ができませんがいつでも市場で売却できます。

市場価格によって利益や損失が発生します。元本割れするリスクもあります。

個人向け国債や新窓販国債を購入するには、まず取り扱っている金融機関を確認します。

口座の開設には本人確認書類やマイナンバー(個人番号)を確認できる書類、印鑑が必要です。

本人確認書類は運転免許証や健康保険証などが利用できます。

口座を開設したら購入の申し込みができるようになります。

国債のリスクについて

・信用リスク

国債は安全な金融資産ですがリスクもあります。

発行体である国の経済や財政に問題があり債務の返済が遅滞するような事態が発生した場合、国債の信用度が低下します。

国家が破綻して元本を回収できなくなる危険性を信用リスクと呼びます。

国債の信用リスクは格付け機関によるランキングを見れば確認できます。

世界的な格付け機関であるムーディーズではAAAからCまで9段階で国債をランキングしています。

格付けのランクが低いほど信用度が下がります。

反対に信用リスクが高まるので債務不履行(デフォルト)が発生しやすいと判断できます。

・金利変動リスク

国債には固定金利と変動金利がありますが、後者は半年ごとに見直しが行われます。

変動金利の国債は市中金利が下落して利子が減少する可能性があります。

反対に市中金利が上昇すると利子が増えます。

固定金利ならば満期まで一定の利息を得ることができます。

市中金利が下落しても利息が減ることはありませんが、上昇した場合は利息が増えません。

市中金利が低い状態で今後上昇する可能性がある場合は、変動金利の国債を選ぶとよいでしょう。

既に高い場合は下落する可能性があるので固定金利のものを選ぶと利子の減少を防ぐことができます。

・為替変動リスク

海外の国債を購入する場合には外貨建てなので為替レートの影響を受けます。

為替の状況によっては売却時に損失が発生する可能性があるので注意しなければなりません。

・リスク以外の注意点

個人向け国債は中途解約時の手数料に注意が必要です。

中途解約する場合には手数料として中途換金調整額が発生します。

中途換金調整額は直前2回分の税引前の利子金額に0.79685をかけたものです。

元本部分は保証されますが、受け取る利息の額が少なくなります。

新窓販国債は個人も法人も購入できますが中途解約はできません。

市場で売却することはできます。

手数料は発生しませんが、売却する際に購入時の基準価格を割り込んでいることがあります。

基準価格の上昇や金利変動リスクを回避する方法として、満期前の解約や売却は有効な方法です。

銀行預金と個人向け国債、株式投資・投資信託の利回りとリスクの関係は以下のようになっています。

利回り

銀行預金<個人向け国債<株式投資・投資信託

リスク

個人向け国債<銀行預金<株式投資・投資信託

個人向け国債は小さいリスクで銀行預金よりも大きな利益を期待できます。

より大きな利益を求めるのであれば、リスクも高まりますが株式投資や投資信託を選ぶとよいでしょう。

個人向け国債を購入するには

・個人向け国債のメリットとデメリット

一般的に投資を行う場合には信用リスクを意識しなければなりません。

信用リスクとは有価証券の発行体である国や企業などが財政難や経営不振で債務不履行となるリスクのことです。

債務不履行が発生すると利息や元本などを決められた条件で受け取ることができなくなります。

そのような事態に陥ると有価証券の価格が下落します。

さらに発行体が破綻すると元本を回収できなくなります。

信用力の低い発行体ほど信用リスクが高くなるので注意しなければなりません。

投資先の国や企業の財務状況や経営内容、格付けなどに常に気を配ることが大切です。

国債は発行体が国家なので、信用力の高い国のものであれば信用リスクは低くなります。

株式などと比較して安全に資産運用ができる金融商品です。

個人向け国債は下限金利が0.05%となっています。

定期預金よりも国債を購入した方が利回りがよくなるケースも存在します。

個人向け国債は最低1万円から1万円単位で購入可能です。

株式や不動産などと異なり少ない資金で投資を始めることができます。

国債にはデメリットも存在します。例えば即座に換金することができません。

銀行の定期預金であれば1か月や半年など短い期間を設定できます。

しかし個人向け国債の場合は、最低でも1年間は途中解約ができません。

1年経過後は解約が可能となります。

ただし支払われるのは中途換金調整額です。

中途換金調整額は個人向け国債を満期前に解約する際に発生します。

直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を掛けて算出されます。

経過期間が短い場合は利子が少なくなることがあります。

国債は毎月発行されるのが通常です。

しかしいつでも購入できるわけではありません。

募集期間内に金融機関などで申し込みをする必要があります。

期間は毎月1日から月末ではなく、国債の種類によって違います。

購入するには募集期間の確認が必要です。

国債は安全な金融商品ですが利回りが低いので、より多くの利益を得たいのであればリスクと利回りの高い投資先を選ぶ必要があります。

例えば投資信託は国債と同様に購入後は保有するだけですが利回りが高いのが特徴です。

株式投資や投資信託はリスクが高くなるものの高利回りを期待できます。

高利回りのためにリスクを許容できる人には国債よりも株式投資などの方が適しています。

国債は信用リスクが小さい安全な金融資産です。

しかし信用リスクが全くゼロなわけではありません。

企業が倒産するよりもリスクは低いかもしれませんが、国家が破綻する可能性は存在します。

元本が保証されるわけではないので信用リスクを意識した上で投資する必要があります。

・国債を購入するには

国債は募集期間内に金融機関などで申し込みをして購入します。

まず銀行やネット証券などで国債を募集しているかどうか確認しましょう。

基本的にどの金融機関で申し込みをしても金利や手数料は同じです。

ただし一部の金融機関では口座管理手数料などが発生することがあります。

国債の購入には金融機関の口座開設が必要です。

銀行で手続を行うには必要書類や個人情報の提出が必要になります。

ネット証券ならばインターネット上で手続を行えるので簡単です。

実際に購入する場合には銀行の窓口で購入代金と印鑑、本人確認書類などを提出します。

ネット証券ならばインターネット上で購入手続が可能です。

購入後は原則としてキャンセルができません。

・国債を購入した場合の注意点

個人向け国債は発行後1年が経過すれば途中解約が可能です。

ただし直前2回分の各利子相当額に0.79685を掛けた額が控除されます。

元本は保証されますが利子がほとんど得られないので注意が必要です。

個人向け国債には固定金利と変動金利があります。

満期後に資金を利用する目的に応じていずれを選ぶかを決めるとよいでしょう。

固定金利は将来受け取ることができる金額を正確に把握しやすいという特徴があります。

満期後の資金計画を立てやすいのがメリットです。

変動金利は将来の受取金額が変動する可能性があります。

詳細な資金計画を立てるには不向きです。

満期後の目的が明確な場合には固定金利を選ぶのがよいでしょう。

金利上昇を期待するのであれば変動金利を選ぶのがおすすめです。

仮に金利が下落したとしても、下限金利を下回ることはありません。

個人向け国債とは

・個人向け国債の特徴

個人向け国債は個人投資家のみ購入できる国債です。

機関投資家が購入するタイプの国債は基本的に満期まで保有しなければなりません。

しかし個人向け国債は途中解約が認められています。

個人向け国債の満期には10年と5年、3年の3種類があります。

これらのうち10年のものだけが変動金利で、5年と3年のものは固定金利です。

インフレのリスクに備えたいのであれば10年ものがおすすめです。

個人向け国債は毎月発行されており、最低1万円からの1万円単位で購入できます。

販売価格と償還金額は額面金額100円につき100円です。

中途換金も可能ですが、発行後1年間はできません。下限金利は0.05%となっています。

・新窓販国債とは

新窓販国債も個人投資家が購入できる国債です。

ただし個人向け国債と異なり個人に限定されず法人名義でも購入できます。

新窓販国債は途中解約ができませんが市場への売却は可能です。

売却時期によって元本割れする可能性があるので注意しなければなりません。

新窓販国債の満期は10年と5年、2年の3種類です。

いずれも固定金利となっています。

新窓販国債は毎月発行されており、最低5万円から5万円単位で購入できます。

1回の申込における上限は3億円です。

販売価格は入札結果に応じて発行ごとに変動します。

購入対象者に制限はありません。

金利は直近の入札で発行した国債と同じになります。

下限金利はなく中途換金はできませんが売却は可能です。

償還金額は額面金額100円につき100円となっています。

新窓販国債と比較して個人向け国債の方が購入単位が小さく下限金利の設定があり、換金による元本保証も行われるので有利です。

・個人向け国債の金利

個人向け国債には適用利率(年率)とその下限が存在します。

例えば変動金利型10年満期の場合、利率の下限は0.05%です。

適用利率は基準金利に0.66をかけて算出します。

変動金利型10年満期における基準金利は、利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた入札の平均落札利回り(直近の10年債経金落札利回り)です。

個人向け国債の固定金利型には5年満期と3年満期があります。

前者の適用利率(年率)は基準金利-0.05%で後者は-0.03%です。

金利の下限は0.05%となっています。

これらの基準金利は募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した、期間5年または3年の固定利付国債の想定利回り(5年債や3年債の想定利回り)です。

個人向け国債の金利には固定と変動の2種類があります。

固定金利は発行時に設定された利率が満期まで一定です。

実勢金利が低下しても設定時の金利が適用され変化しません。

固定金利は実勢金利の状況に左右されないため、国債の発行時に最終的な投資結果がほぼ予想できます。

ただし実勢金利が上昇した場合にも変化しないので、変動金利型のように利子が増えません。

実勢金利は市中金利とも呼ばれます。

金融市場で資金の貸し借りが発生する場合に適用される金利のことです。

変動金利の場合は半年ごとに適用金利が変更されます。

金利が変わるので受け取る利子額も変化します。

このタイプは実勢金利に応じて変化するので、発行時には最終的な投資結果が分かりません。

実勢金利が上昇すれば受け取ることができる利子は増えますが、低下した場合は減少します。

ただし最低金利より減少することありません。

国債の基礎知識

・国債とは

国債は国庫債券を省略したもので、国家が証券を発行して行う借入金です。

発行時には償還期限と利率が定められます。

購入者は利率に応じた利息を受け取ることができます。

償還期限を迎えた場合には、元金である発行時の金額が支払われます。

発行時の金額は額面額もしくは額面価格と呼ばれています。

国債は国家が元本と利子の支払いを保証しており、金融商品の中でも安全性が高いという特徴があります。

ただし政府が一方的な条件変更を行う場合があるだけでなく、保有者は債務の履行について強制力を持ちません。

国債の安全性は国家の財政状態などによって判断されます。

格付け機関は各国が発行する国債の評価と格付けを行っています。

国債は市場で取引が行われており価格は常に変動します。

価格と金利は裏返しの関係にあります。

これらは世界情勢や発行国の社会、経済、政治、財政の状況を反映しています。

投資家が国債を購入すると、国が決めた金利を半年に1回受け取ることができます。

満期になれば元本全額が償還されます。

国債は国が投資家から借金したもので一種の債券です。

発行している国が破綻しない限り元本割れのリスクはありません。

国債には様々な種類のものがあります。

・国債の分類

国債は利付国債と割引国債の2種類に分類することができます。

利付国債は半年に1回、年に2回利子の支払いが行われます。

発行時に満期が設定されており、満期時に発行価格と同額の額面金額が支払われるのが通常です。

基本的に満期時まで保有していれば元本割れすることはありません。

ただし発行元である国家が破綻した場合は回収不可能となる可能性があります。

割引国債には利子の支払いがありません。

発行時に満期が設定されていますが、発行価格は満期までの利子が額面金額から割り引かれた額です。

割引国債も満期時に額面金額を受け取ることができます。

額面金額は発行価格を上回っているので、差額が利益になります。

金利スワップとは

金利は一律ではありません。

短期変動金利と長期固定金利が存在します。

前者は中央銀行の政策金利に連動しており、経済状況や政策判断によって随時変動します。

後者は住宅ローンや長期債券などです。

固定一律の金利で数十年にわたる長期契約に適用されます。

一般的に金融機関は低い変動金利で資金調達をします。

調達した資金に利率を上乗せし、固定金利で貸し出すことになります。

金融機関は変動金利と固定金利の金利差から利益を得ることができます。

仮に変動金利が固定金利を超えて上昇した場合には、逆サヤが生じるため金融機関に損失が発生します。

金利変動によるリスクを回避することを目的として、アメリカの投資銀行によって金利スワップが考案されました。

例えば金融機関が3%の変動金利で預金を集めて、5%の長期固定金利で貸し出したとします。

変動金利が5%を超えると金融機関に損失が発生することになります。

金利スワップを行うと、金融機関は投資銀行などの幹事企業(アレンジャー)と金利を交換してリスクを回避できます。

金融機関が投資銀行に4%の固定金利を支払うと、投資銀行が代わって変動金利の支払いを負担します。

変動金利が上昇するリスクは投資銀行の負担です。

金融機関は4%の固定金利で資金を調達し、5%の固定金利で貸し出したのと同じことになります。

1%の利益を得られるだけでなく金利変動のリスクを回避できます。

投資銀行は金利スワップをするにあたって、変動金利の平均が4%を超えないと考えています。

そのまま保持すれば1%の利益が得られます。

ただし予想が外れた場合は損失を被ることになります。

投資銀行は自ら金利スワップを行わず、変動金利が上昇しないと考える他の顧客を仲介することも可能です。

この場合は当事者双方から手数料を得ることができます。

金利スワップは取引量の増大にともなって様々な方法で行われるようになりました。

オプション取引と組み合わせたスワップションなど金融工学により様々な取引方法が生み出されています。

スワップ取引は将来の金利変動リスクを回避する目的で金融機関の間で急速に普及しました。

また企業の財務管理にも用いられています。

汎用性が高いため、個人向けの金融商品にも採用されるようになりました。

債券先物取引の決済方法

債券先物取引の決済方法は受取と差金決済の2つです。

一般的に受取よりも差金決済の方が広く利用されています。

受取方式では限月に現物債券が売り方から買い方に受け渡されます。

限月は現物債券を受け渡す期日で債券先物取引では3月と6月、9月と12月です。

受渡日は限月の20日とされています。

限月において受け渡し可能な銘柄は受渡適格銘柄と呼ばれます。

この銘柄は複数存在する場合もあります。

複数存在する場合は売り方が自由に選択することができます。

売り方が受渡適格銘柄を自由に選択できることを一般的に「売り方勝手渡し」と呼びます。

適格銘柄のうち売り方にとって最も有利なものは最割安銘柄と呼ばれます。

差金決済方式では限月までに反対売買を行い差益が決済されます。

反対売買は先物取引や信用取引でポジションとは逆の注文を出すことです。

買った場合は売り、売った場合は買って決済します。

債券先物を購入した場合→価格上昇で差益が発生→売却すると差益獲得
           →価格下落で差損が発生→売却すると損失確定

債券先物を売却した場合→価格上昇で差損発生→購入すると損失確定
           →価格下落で差益発生→購入すると差益獲得

債券先物取引における理論価格の算出方法

債券先物取引は標準物を対象として行われます。

標準物架空の債券なので、現実に同じ債券は存在しません。

ただし、標準物と同じ現物債が存在すると仮定して理論価格(先渡価格)を算出することができます。

先物取引では一定期間の経過後に清算します。

理論価格は現物価格に清算期日までの金利負担や配当金(クーポン収入)などを加味して算出されます。

具体的には以下のように計算します。

理論価格=現物価格×[1+(短期金利-配当利回り)×決済までの日数/365]

短期金利は保有・調達費用、配当利回りは保有による収入です。

決済日(期日)には日数が0になるため、現物価格と債券先物の価格は等しくなります。

先物取引では将来の期日に決済を行って現物債を手に入れます。

期日までの配当金を受け取るのは買い手ではなく売り手です。

期日前の債券先物の価格を決めるには、買い手が期日まで短期金利で現物債を借りたと仮定する必要があります。

買い手が期日前に現物債を借りて期日まで保有すると仮定した場合、借り手は配当金を受け取れますが、期日までの短期金利を支払わなければなりません。

期日前に現物債を(借りたと仮定して)取得した場合には、配当金の形で収入が発生する一方で金利など保有・調達費用も発生します。

先物取引では期日に決済(受渡)を行って現物債を取得しますが、このとき現物債と先物債券は等価です。

しかし期日前に(借りて)調達したと仮定すると、実質的な価格は現物価格より配当利回り(直利)分だけ割り引かれ、保有・調達費用分だけ高くなります。

例えば期日の3日前に100円の現物債を借りて調達したと仮定します。

収入は1日10円で利息は1日5円です。

期日である3日後に現物債と先物債券は同じ100円になりますが、借り手3日間で30円の配当収入を得ます。

配当を考慮すると、3日前の70円の現物債には3日後の100円の現物債と同じ価値があります。

そのため現物価格である100円から3日分の配当収入である30円を控除します。

利息は1日5円発生し、借り手は3日間で15円を支払うことになります。

3日後に100円の価値のある現物債を、期日よりも早い3日前に手に入れるためには15円の費用が発生します。

そのため現物価格の100円に短期金利分の15円を加えます。

期日前の先物債券の価格(理論価格)は、期日までの収入や保有・調達費用を考慮して決めなければなりません。

そのため期日までの日数に応じて現物価格から収入を控除し、保有・調達費用を加えて評価することになります。

理論価格は期日前に現物債を調達したと仮定した場合の価格なので、先渡価格とも呼ばれています。

国債先物取引の利回りについて

国債の金利には表面利率や利回りなどの概念があります。

クーポンレートは表面利率や利率と呼ばれ、利子付債で半年ごとに支払われる利子の大きさを表します。

固定利付債の場合は額面金額(100万円)に対する1年分の利子がパーセントで表示されています。

仮に額面金額100万円で年に2万円の利子が支払われるとすると、クーポンレートは2%です。

この場合は半年ごとに1万円ずつ支払われることになります。

国債のクーポンレートは発行時の市場の状況によって決定されます。

具体的には格付けや金利情勢、発行年限などがクーポンレートの決定に影響します。

一旦決まったクーポンレートは償還まで変わらず一定です。

格付けは信用格付けとも呼ばれます。

債券などの元本償還や利払いの確実性をアルファベットや数字などの簡単な記号で表したものです。

債券の発行体は格付け会社に財務状況や収益力を評価してもらい、投資家は格付けに基づいて投資判断を行います。

格付けが高いほど市場から少ないコストで資金を調達することができます。

発行体が依頼して格付けが行われる場合と、格付け会社が勝手に行う場合があります。

後者は勝手格付けと呼ばれます。

格付け会社は格付け機関や信用格付け会社とも呼ばれます。

一定の条件を満たした格付け会社は、金融商品取引法に基づいて金融庁に登録され監督下に置かれています。

国債の利回り(最終利回り)とは1年あたりの運用益をパーセントで表したものを指します。

運用益には1年間の利子収入と、償還額面か売却価格と購入価格の差額が含まれます。

購入価格との差額は1年あたりに換算したものです。

国債の購入価格は時価なので、市場の状況や購入する金融機関によって変化します。

1年間あたりの利回りは、国債の購入価格によって変化することになります。

債券投資には直接利回り(直利)という概念も存在します。

直接利回りは利付債の購入価格に対する1年間に受け取る利息の割合のことです。

最終利回りと異なり、償還差損益や売却損益を考慮していません。

債券を額面と異なる金額で購入した場合、クーポンレートとも異なる数値になります。

直利の計算方法は以下のとおりです。

直利=(1年あたりの受取利息/購入価格)×100

この数値は利付債が本来持つ総合的な投資収益率ではありません。

しかし利息収入だけでどの程度の利回りになるかを知ることができます。

国債先物取引の種類

国債先物取引の対象銘柄全部で4種類です。

1.中期国債先物取引:取引対象は中期国債標準物、クーポンレートは3%、償還期限は5年

償還期限が債券先物の中で最も短いのが特徴です。

2.長期国債先物取引:取引対象は長期国債標準物、クーポンレートは6%、償還期限は10年

債券先物の中でも最も多く取引されています。

ミニ長期国債先物取引と比較してラージ長期国債先物取引とも呼ばれます。

3.超長期国債先物取引:取引対象は超長期国債標準物、クーポンレート:は3%、償還期限:は20年

最も償還期限の長い銘柄です。

4.ミニ長期国債先物取引:取引対象は長期国債標準物の価格

取引単位は長期国債先物取引の10分の1です。

受渡ではなく差金決済のみで決済が行われます。

取引単位が小さいので個人投資家にも扱いやすい銘柄です。

クーポンレートは債券の額面に対して毎年受取れる利子(利息)のことで表面利率とも呼ばれます。

固定レートと変動レートが存在します。

債券の4つのリスクとは

債券には主に4種類のリスクが存在します。

信用リスクは発行主体が倒産したり財政難に陥り債務不履行となるリスクです。

流動性リスクは債券を時価で売却する際に買い手が見つからずに売却不可能となるリスクを指します。

為替リスクは外貨から円に交換する際に、為替変動によって差損が発生するリスクです。

価格・金利変動リスクは、債券を時価売却する際に価格と金利の変動によって損失が発生するリスクを指します。

信用リスク:発行主体の債務不履行
価格・金利変動リスク:価格・金利変動による損失
流動性リスク:買い手が見つからない
為替リスク(カントリー・リスク):為替変動による差損
 
債券先物取引では価格と金利が固定されます。

そのため金利変動のリスクを回避できるというメリットがあります。

金利が上がると債券の価格は下落します。

例えば金利が2%から3%に上昇した場合、古い2%の債券は誰も買わなくなります。

金利2%の債券を売るには価格を下げなければなりません。

3%と2%の債券で受け取ることができる利益の差額分だけ価格が下落することになります。

債券先物取引では金利が予め固定されるため金利変動リスクの回避が可能です。

証券会社は金利変動リスクを回避して資産運用ができるので市場における債券の流通性が安定します。

市場の流通性が安定すると発行主体は引き受けリスクを回避できるようになり、市場の拡大につながります。

債券の金利と価格の関係は以下のとおりです。

1.金利上昇→価格低下
2.金利低下→価格上昇

債券は現物と先物を組み合わせるとリスクを回避することができます。

現物債券を購入した場合は、金利が下がって価格が上昇したときに売却すれば利益を得られます。

しかし予想に反して金利が上昇し価格が低下した場合は、売却すると損失が発生します。

先物取引で売り注文を出しておけば、金利が上昇し価格が低下しても損失と利益が相殺されます。

将来現物債券を購入したいと考えていても、金利が下がって価格が上昇してしまうことがあります。

そのような場合には希望価格で購入することができません。

実際に購入すると出費が多くなってしまいます。

しかし予め先物取引を利用して現在の安い価格で買い注文を出しておけば、将来価格が上昇しても現在の価格で購入できます。

この債券を値上がった価格で売却すれば利益で増えた出費分を相殺できます。

この方法は買いヘッジと呼ばれます。

保有している現物債券を売却したい場合は、予め先物取引で売り注文を出しておけば値下がりによる損失を利益で相殺することが可能です。

この方法は売りヘッジと呼ばれています。