先物取引には様々な種類があります

先物取引では決められた期日に、日経平均株価などの指数を決められた価格で売買します。

株価が上昇する見込みがある場合は買い注文、安くなる可能性がある場合は売り注文により利益を得ることができます。

例えば代表的な先物取引である日経225先物は、日経平均株価を売買して利益を得ることを目的とした株価指数先物取引です。

先物取引ではFXと同じようにレバレッジをかけて高額な取引をすることができます。

レバレッジが大きいほど利益も大きくなりますが、損失も大きく可能性があるので注意が必要です。

先物取引のレバレッジは商品の種類によって異なります。

取引が可能な時間帯は日中と夜間の2つです。

東京市場における先物取引の価格は、ニューヨーク市場の価格に基づいて決まります。

日中取引の時間は9時から15時45分までです。

夜間取引は16時半から翌朝の4時まで行われています。

ニューヨーク市場が開かれている時間は日本では夜です。

夜間取引ではニューヨーク市場の動きをリアルタイムで追うことになります。

先物取引は金融先物と商品先物の2種類に分類することができます。

1.金融商品先物取引とは

金融商品先物取引では金融商品の金利などが取引対象になります。

具体的には金利と株価指数、国債の3種類です。

いずれも将来の値動きを予想して取引が行われます。

・金利先物取引

金利先物取引は金利指数を対象としたデリバティブ(金融派生商品)の一種です。

日本では東京金融先物取引所で取引が行われています。

ユーロ円3か月金利先物やユーロ円3か月金利先物オプションなどの商品が存在します。

LIBORの3か月物ユーロ円金利先物では、将来の指定された日に公表されるLIBORの3か月分の円の金利を予測します。

予測したレートで約定し、指定日に金利が公表されたら、金利差に相当する金額で差金決済が行われます。

LIBORはロンドンにおける銀行間取引で資金の提供者から提示される金利のことです。

ロンドン銀行間取引金利とも呼ばれます。

多くのユーロ債における参照金利として使われています。

金利先物取引では短期金利を指標としており、予め決定した期日に決められた条件で資金の貸し借りを行います。

一般的な先物取引では契約価格が売買の値段(呼び値)とされます。

しかし金利先物取引では貸し借りの金利が呼び値です。

取引は反対売買によって終了します。売買の締切日として限月が定められています。

ユーロ円3か月金利先物、ユーロ円3か月金利先物オプションの限月は3月と6月、9月と12月の第3水曜日の2営業日前です。

金利先物取引では差金決済が行われます。

実際に決済で貸付や借入が行われるわけではありません。

売却・購入の価格差により利益を受け取ったり損失分を支払ったりします。

例えばユーロ円3か月金利先物で将来の指定日における金利が1.5%と予測して資金を借りたとします。

実際に公表された金利が1.6%だった場合、1.6%の金利を支払い1.5%の金利を受け取ります。

つまり0.1%分の金利を支払うことになります。

・株価指数先物取引

株価指数先物取引には日経225先物取引や東証株価指数先物取引などがあります。

株価指数を対象とした金融商品です。

定められた期日であるSQ日まで建て玉を保持した場合、SQ値で決済が行われます。

SQ値とは特別清算指数のことです。

特別清算指数はSQ日の株価指数の始値にも続いて決められます。

SQ日のある月のことを限月と呼びます。

SQ日まで建て玉を保持せずに最終取引日前に次の限月に乗り換えることもできます。

限月を乗り換える行為はロールオーバーと呼ばれます。

基本的にロールオーバーのタイミングは自由とされています。

シカゴ・マーカンタイル取引所には慣習的なロールオーバー日の定めがあります。

米国の株価指数は最終取引日の8日前の東部標準時午前9時30分、日経225先物取引は最終取引日の4日前がロールオーバー日です。

株価指数は株式の相場状況を表す指数です。

個々の銘柄の株価を一定の計算方法で総合した上で数値化します。

原則として基準値を100や1000として指数化されたものが指数です。

平均株価などの本来は指数でない数値を含めて指数と表現することもあります。

日本市場には様々な株価指数が存在します。

東証株価指数(TOPIX)や日経225(日経平均株価)などが代表的な株価指数です。

他にもジャスダックインデックスや東証マザーズ指数、ヘラレクレス指数などがあります。
 
先物取引では証拠金を提供して差金決済が行われます。

買い注文と売り注文のいずれからでも取引を開始することが可能です。

株価指数先物取引の取引単位は株価指数×乗数で決まります。

例えば日経225先物は株価指数の1000倍ですが、日経225mini先物は100倍です。

日経225や東証株価指数は東京証券取引所第一部に上場した銘柄を対象としています。

ただし先物取引である日経225先物や東証株価指数先物などは大阪取引所で取引が行われます。

日本国内で株価指数先物取引が行われるのは大阪取引所です。

アメリカではシカゴ・マーカンタイル取引所が金利や株価指数などの先物取引を扱っています。

・国債先物取引

債券先物取引は特定期日に特定の債券を予め決定された価格と数量で取引します。

日本では長期国債先物や中期国債先物、超長期国債先物、ミニ長期国債先物が大阪取引所に上場され取引が行われています。

国債先物取引で実際に発行されるのは日本国債ではありません。

架空の債券である標準物が取引されます。

標準物は取引を円滑にするため、証券取引所が利率や償還期限などを標準化して設定したものです。ただし決済日には現物の債券を受け取ることができます。

国債先物取引でも株式の場合と同じく売買単位や限月などの条件が決まっています。

一定の証拠金を提供して取引が行われます。

期日前に決済することも可能です。基本的に決済は反対売買を行い差額を受け取る方法(差金決済)によって行われます。

債券先物取引では金利と価格が予め決められています。

そのため期日までは金利や価格変動の影響を受けずにすみます。
 
例えば100円で債券を購入する契約をして期日に105円になっていた場合、100円で105円の債券を購入できます。

一方で95円に値下がりしていた場合は、95円のものを100円で購入しなければなりません。

安いものを高値で購入しなければなりませんが、予め100円の出費を想定していれば損失発生を回避できます。

ただし価格が100円以上になっていない状態で売却すると損失が発生します。

国債先物取引では売り注文から取引を始めることもできます。

100円で売り注文を出して95円まで値下がりした場合は、95円のものを100円で売却できるので利益が発生します。

国債先物取引では相場の状況やポジションによって利益や損失が発生することになります。

2.商品先物取引とは

・商品先物取引の特徴

商品先物取引では農産物や鉱工業材料などの商品を対象としいています。

予め決められている日に一定の価格で売買を行う契約です。

商品先物では金やガソリン、トウモロコシなど日常生活に近い場所にある商品が取引されます。

将来の一定の期日に商品を受渡すること約束して現時点で価格を決めますが、期日まで待つ必要はありません。

一定の期日が到来する前にいつでも反対売買を行うことが可能です。

反対売買で取引を終了させる場合、商品の受渡は行わずに差金決済によって清算されます。

商品先物取引は農林水産省と経済産業省の管轄です。

取引は東京商品取引所と大阪堂島商品取引所で行われています。取引所によって扱う商品には違いがあります。

東京商品取引所は世界で2番目に取引量が多く、17種類もの商品を扱っています。

商品先物は買い注文だけでなく売り注文から取引を開始することも可能です。

値上がりと値下がりのいずれの局面でも利益を得ることができます。

通貨の取引を行うFXでは高金利な通貨の売りポジションを保有している場合、毎日スワップ金利を支払わなければなりません。

スワップ金利はスワップポイントとも呼ばれます。

取引を行う2つの通貨の金利差のことです。

高金利通貨を買って低金利通貨を売る場合には毎日スワップ金利を受け取ることができます。

一方で高金利通貨を売って低金利通貨を買う場合はスワップ金利を支払わなければなりません。

商品先物では金利の受け払いがないので、商品価格の動向だけを予想すればよいという特徴があります。

FXと比較して取引が非常にシンプルです。

取引に必要となる証拠金は取引代金総額の1%から10%ほどです。

少額の保証金でレバレッジを効かせた取引が可能なので、効率的に資金を使えます。

積極的な資産運用を行いたい人に適した投資対象です。

・商品先物取引で価格変動のリスクを回避するのに役立ちます

金属や鉱物資源、農産物などの価格は常に一定というわけではありません。

価格の変動は生産者や消費者だけでなく製造業者、流通業者や販売業者など商品に関わる全ての人に影響を及ぼします。

先物取引を行うことで価格変動のリスクを回避することが可能になります。

農産物の生産者の場合、作物を育てている段階では価格が高くても、出荷する段階で値下がりする可能性が存在します。

先物市場で価格が高い時期に売り注文を出していれば、後に値下がりするリスクを回避できます。

製造業者の場合、利益を得るために安く原材料を仕入れてコストダウンを図る必要があります。

価格が安い時期に先物市場で買い注文を出しておけば、後に値上がりするリスクを回避できます。

商品先物取引では、各取引所が受渡供用品を定めています。

受渡供用品は決済の際に売り方から供用可能な商品のことです。

一定の品質が保証されています。

・先物取引によって商品価格が適正に形成されます

商品先物市場には様々な参加者が存在します。

当業者は実際に現物を扱っており、上場商品の売買や売買の媒介・取次、生産・加工などを行う業者です。

その他にも機関投資家や個人投資家などが参加しています。

参加者たちによる注文内容は全て板に表示されます。

板は気配値とも呼ばれており、コンピュータの画面上に表示された銘柄・値段ごとの売買の注文のことです。

先物市場で行われた注文は誰でも見ることができます。

透明性が高く様々な人々が参加することで適正な商品価格が形成されます。

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