株式の基礎知識

バブル崩壊後、日本の経済構造が根本的に変化しました。

戦後からバブルまで:株式の持ち合いが行われていました。経営者は会社が買収される心配をせずに事業運営ができました。

バブル崩壊後:株式の持ち合いが解消されるようになりました。経営者は買収される危険性に対処しなければなりません。

バブル崩壊後の日本経済を理解するためには、経済構造の根本的な変化を知ることと、それに関連した経済用語を覚えることが大切です。

知識同士を結びつけて経済を理解する力を習得すれば、様々な情報を資産に変えることができます。

今後の日本経済は自己責任が求められる時代となるため、経済の動きを理解する能力が非常に重要となります。

・そもそも株式とは

株式は株式会社の社員としての地位のことです。

株主は社員であり株式会社を構成します。

英語では一社全体の株や株式、資本金のことをstockと呼びます。

stockはcommon stock(普通株式)やpreferred stock(優先株式)など有価証券を表す普通名詞として使われます。

一方でequityも株式や株主資本を表します。

equityは企業財務における株主の持ち分である自己資本を表すために使われる言葉です。

stockとequityはいずれも株式を表す言葉ですが、使用される場面に違いがあります。

前者は証券そのものを表すのに使われ、後者は財務上の用語として使われます。

株式市場はstock marketと表現しますが、自己資本を増やす増資や社債発行による資金調達などはequity financingと表現されます。

・日本語の株式とは

日本語の「株式」は独占営業を許された集団成員を表す「株」と、中世の土地収益権を表す「式(職)」に由来しています。

明治5年、1872年に解散を命じられるまで、日本には株仲間という組織がありました。

株仲間とは問屋などが一種の座を作りカルテルを形成することです。

株式を所有することで株仲間の構成員として認められました。

明治時代に解散を命じられると、構成員の多くは商業組合に改組されます。

・株式の法的地位について

株式の法的地位に関する理解は、社員権説が通説となっています。

社員権とは社団における構成員である社員の地位のことです。

日本の法律では物権や債権、知的財産権と同様に財産権の1つとされます。

社員権説では、株式が株式会社の構成員としての地位を表すとされています。

株式を表章する有価証券が株券です。

世界最初の株式会社は1602年に設立されたオランダ東インド会社であるとされています。

株式は会社に対する権利全体を均等に分割するものです。

また多額の出資者に複数の株式所有を認めて、権利関係の処理や株式の流通を円滑化しています。

その結果として大規模な事業における多額の資金調達も容易にできるようになりました。

株式は持分均一主義と持分複数主義に特徴があります。

前者は株式が均一な大きさに分割された割合的単位となっていることを意味します。

1株を複数の株主が共有することはできますが、株主が勝手に株式を細分化することはできません。

持分複数主義とは各株主が複数の株式を所有できることを意味します。

日本の株式は種類ごとに均一に細分化された割合的な構成単位となっています。

一方持分会社の社員権である持分は、各社員の出資額などに応じて不均一な形態をとることもできます。

ドイツでは持分不均一主義が採用されています。

1株の価値が券面額などなどで表示される額面株式制度を採用している場合は、必ずしも持分均一主義を採用しなければならないわけではありません。

株式はもともと額面株式しかありませんでした。

額面株式は資本の構成分子を意味しており、資本と株式には相関関係があります。

後にアメリカのニューヨーク州で無額面株式が初めて発行されると、世界中で無額面株式が発行されるようになりました。

日本の会社法でも無額面株式のみを認めています。

無額面株式に資本の構成単位としての意味はありません。

資本と株式の相関関係が切断されている点に特徴があります。

例えば企業が自己株式を消却した場合でも、資本金が減少することはありません。

・株式の経済的地位について

株式会社が利益を得ると、一部を配当という形で株主に分配するのが一般的です。

配当は株主の出資比率に応じて分配されます。

事業が赤字の場合は配当が行われず、無配となる場合もあります。

また廃業や倒産などにより株式の価値がゼロになるケースも存在します。

ただし株主は間接有限責任です。

企業に多額の債務がある場合でも、株主が出資額以上の損失を被ることはありません。

企業が解散した場合は、債務を全て履行してから残余財産を株主の出資比率に応じて分配します。

株式は会社の所有権を分割したものです。

残余財産の所有権は株主にあるので、原則として出資比率に応じて分配されることになります。

株式の売買が行われると市場価格が付けられます。

証券市場における取引で成立した株式の価格が株価です。

株式を所有することで得ることができる配当などの利益は配当収益やインカムゲインなどと呼びます。

一方で株式の売買によって得られる利益は、売買収益やキャピタルゲインと呼ばれます。

・株価とは

株価とは株式市場において実際に約定があった株式の価格のことで、出来値を表します。

一方で売り注文や買い注文の際に提示されたものの、約定に至らなかった値段のことを気配値と呼びます。

一般的に気配値は出来値である株価と区別されます。

証券取引所内で売買取引を行う場合、希望価格は呼び値とも呼ばれています。

呼び値単位を最小単位として株価は変動します。

証券取引所における株取引では、株価に応じた呼び値単位が定められています。

この単位よりも細かい価格の指定はできません。

株価は市場が開いている間に政治や経済など社会に関する様々な事象の影響を受けて変動します。

1日の株価の動きは四本値と呼ばれる4つの値で表現されます。

四本値とは始値と終値、高値と安値です。

始値:市場が開いてから最初に取引された株価
終値:最後に取引された株価
高値:立会時間中で最も高い株価
安値:最も安い株価

・株式市場の値幅制限

株価は上方にも下方にも変動しうるため、あまりに急激な変動は市場参加者にパニックを起こす可能性があります。

値幅制限とは株価の変動を一定の範囲に制限することです。

制限の限界まで急騰する場合をストップ高、暴落する場合はストップ安と呼ばれます。

株式が市場に上場した初日は、始値が決まるまで制限されることはありません。

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