・信用取引には委託保証金が必要です
信用取引を行うためには担保として現金か代用有価証券を証券会社に預けます。
現金は100%評価されますが、代用有価証券は一定の換算率をかけて評価することになります。
換算率は証券会社によって違いが見られます。
証券会社に預けた現金や株式は委託保証金と呼びます。
法令で委託保証金は30万円以上と定められています。
また委託保証率は約定代金の30%以上とされます。
1000万円の信用買いをする場合は、30%の300万円を委託保証金として預けなければなりません。
実際の委託保証金率は各証券会社によって定められています。
個別銘柄の信用取引が規制されたり、各社が必要と判断した場合には変更されることがあります。
委託保証金率の計算方法は以下のとおりです。
委託保証金率=委託保証金(現金+代用有価証券評価額)/建玉約定代金×100
信用取引では最低委託保証金維持率に注意しなければなりません。
委託保証金維持率とは現在の建玉約定代金に対する委託保証金の割合のことです。
信用買いで値下がりした場合や空売りで値上がりした場合には、評価損が発生し委託保証金から控除されます。
各証券会社では最低委託保証金維持率を設定しています。
評価損が発生して維持率を下回った場合には、追加の委託保証金を提供しなければなりません。
追加の委託保証金は一般的に追証と呼ばれています。追証が一旦発生すると、維持率を回復しても支払う義務が残ります。
解消するためには入金したり、建玉を返済して決済するなどが必要です。
期日までに追証を解消できない場合は、翌営業日の始めに全ての建玉が反対売買によって決済されます。
決済で損失金額が発生した場合には委託保証金の現金が充当されることになります。
代用有価証券が任意売却される可能性も存在します。
追証を発生させないためには、常に委託保証金維持率に注意しながら信用取引を行う必要があります。
・追証の発生させないために必要なこととは
安心して信用取引をするためには、追証を発生させないための工夫が必要になります。
信用取引では委託保証金の約3.3倍までの取引が可能です。
ただし最高限度までレバレッジを効かせる必要はありません。
低倍率で取引を行うか、余裕を持って保証金を預けておけば追証の発生する可能性が少なくなります。
最高限度額まで取引を行うと、余裕を持って取引を行うことができなくなるので注意が必要です。
法定されている最低額の30万円を預け、最低委託保証金率が20%で信用取引を行うと仮定します。
預けた保証金の3倍である90万円の取引を行う場合、最低委託保証金は18万円です。
この場合の保証金の余力は12万円となります。
取引額90万円に占める余力の割合は約13.3%です。
これ以上含み損が発生すると、最低委託保証金の18万円を割り込んで追証が発生します。
預けた保証金の2倍である60万円の取引を行う場合、委託保証金は12万円となります。
この場合の余力は18万円です。取引額の60万円に占める余力の割合は30%となります。
30%以上の含み損が発生した場合には追証が発生します。
同じ額の委託保証金を預けて取引を行う場合でも、取引額が少ない方が余力は大きくなります。
追証が発生する可能性が少なくなるので、精神的にも余裕を持って取引を行うことができます。
なるべく現金を保証金とすることも、追証の発生を防ぐ上で重要です。
有価証券を保証金として提供すると、株価が下落して評価額が目減りすることがあります。
信用取引をしている銘柄で含み損が発生すると、委託保証金が減少します。
預けている株式の株価が下落すればさらに委託保証金が減ることになります。
最低委託保証金を割り込むと追証が発生してしまうので注意しなければなりません。
全ての委託保証金を現金にすれば、信用取引をしている銘柄の含み損以上に保証金が減るのを防げます。
保証金に占める現金の割合が増えるほど、余裕を持って信用取引を行うことができます。
信用取引をしていると、株価が予想とは反対方向に動いて追証が発生することがあります。
被害を拡大させないためには、素早く損切りをすることが重要です。
追証の発生を回避するために有効な方法をまとめると以下のようになります。
1.レバレッジを効かせすぎない
2.有価証券ではなく現金を保証金として預ける
3.素早く損切りをする
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