・青色申告と白色申告の違い
確定申告では年間の所得と納税額を税務署に申告しなければなりませんが、具体的な申告方法には青色申告と白色申告の2種類があります。
不動産所得や事業所得、山林所得がある事業者は毎日の取引を帳簿に記録します。
青色申告は帳簿の記載事項を確定申告書に記載して申告する制度です。
帳簿は基本的に複式簿記で記録しなければならないため手間がかかりますが、事業で得た収入から最大65万円を無条件で控除できます。
最大65万円の控除によって納税額が安くなるため、白色申告と比べて節税効果が高いというメリットがあります。
青色申告を行うためには事前に税務署に申請書を提出して承認を受けます。
白色申告は青色申告の申請書を提出していない事業者が行う制度です。
2014年から全ての白色申告者に帳簿への記帳と、5年から7年の帳簿等の保存が義務付けられました。
帳簿作成の手間という点で白色申告と青色申告の間に大きな違いはありません。
白色申告は1種類の方法だけですが、青色申告は帳簿の付け方によって2種類の方法に分類できます。
青色申告には10万円控除と65万円控除の2種類があるため、確定申告の方法は全部で3種類存在します。
白色申告(控除なし)→青色申告(10万円控除)→青色申告(65万円控除)の順に節税効果が高くなります。
・青色申告の様々なメリット
青色申告に以下のようなメリットが存在します。
1.青色申告特別控除
青色申告を選ぶと複式簿記で帳簿を付けることになりますが、無条件で65万円の控除が受けられます。
ただし65万円の控除を受けるためには、基本的に翌年の3月15日までに確定申告書を提出することが条件とされています。
期日を過ぎると10万円の特別控除になってしまうので注意してください。
2.純損失の繰越控除
開業して間もない時期や事業を拡大している時期は、経費が増えて赤字になるケースが多く見られます。
純損失の繰越控除制度を利用すれば、その年の事業による赤字を翌年以降3年間に発生した黒字と相殺できます。
前年の赤字が100万円で翌年に200万円の黒字となった場合は、白色申告だと200万円について納税しなければなりません。
青色申告ならば純損失の繰越制度が使えるので、200万円から前年の赤字分の100万円を差し引いた残りの100万円についてだけ納税すれば足ります。
3.青色専従者給与
基本的に家族に支払う給料などは経費として計上できません。
青色申告では税務署に届出をすると一緒に生活している配偶者など家族へ支払う給料を経費にできます。
この制度を利用するには給料が業務に見合っていることや、専業で業務を行っているなどの条件があります。
白色申告にも専従者控除制度があるものの、控除できる金額は最大で86万円です。
青色専従者給与制度の場合は控除額に上限がありません。
4.少額減価償却の特例
自動車やパソコン、カメラなど1年以上使う備品で10万円以上するものは使用期間に応じて費用に計上するため減価償却を行います。
ただし青色申告の届出を行った事業者は少額減価償却の特例を受けることができ、30万円未満の固定資産を購入した場合に全額を費用に計上できます。
白色申告と比べて青色申告は早く費用に計上できるため税金が安くなります。
少額減価償却の特例を利用できる資産の合計金額は年間で300万円までと上限が設定されています。
申告前には資産の合計金額が300万円を超えていないことを確認してください。
5.家事按分
自宅と事務所を兼ねる場合の家賃や電気代などは家事関連費に該当します。
家事関連費は家事按分をすれば事業の経費として計上できます。
ただし経費に計上できるのは業務に関係のある部分だけなので、合理的な割合で按分しなければなりません。
自動車の減価償却費やガソリン代、保険料やインターネット代、電話料金なども家事按分の対象となっています。
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