消費税とは

 消費税は消費行為に対して課される租税で、1953年にフランスの大蔵省の官僚モーリス・ローレによって考案された一種の間接税です。

財貨やサービスの取引によって生じる付加価値に着目して課税する点に特徴があります。

消費税は大きく直接消費税と間接消費税の2種類に分類できます。

1.直接消費税

消費行為を行った本人に対して直接的に課税。商品・サービスの最終的な消費行為(消費金額に対して課税されます。

納税義務者=担税者で、租税の転嫁は起こりません。

2.間接消費税

消費行為を行った者が担税者だが納税義務者ではない。

商品・サービスの消費行為の前段階で、取引行為(取引金額)に対して課税されます。

間接消費税の場合は最終的に消費者が負担するので租税の転嫁が起きています。

納税義務者は商品やサービスの提供者ですが、担税者は最終的な消費者です。

直接消費税は消費行為を行った者が納税義務者であり、ゴルフ場利用税や入湯税などが該当します。

物品やサービスの提供者は徴収納付義務者として課税主体の代わりに徴収を行います。

地方税の場合は特別徴収義務者とされますが、課税主体の代わりに徴収を行う点は同じです。

物品やサービスの提供者は消費者から消費税を徴収して課税主体に納付します。

間接消費税には酒税などがあり、納税義務者は物品の製造者や引取者、販売者、サービスの提供者です。

納税義務者は税目によって異なっています。

間接消費税は課税対象となる物品やサービスの消費を特定のものに限定するかどうかによって、個別消費税と一般消費税の2種類に分類できます。

個別消費税は特定の物品・サービスにのみ課税されますが、一般消費税は全ての物品・サービスに課税されており大型間接税とも呼ばれます。
消費税の分類をまとめると以下のようになります。


間接消費税に含まれる一般消費税(General Tax)には付加価値税(value added tax、VAT)などがあり、個別消費税には酒税やガソリン税、たばこ税などがあります。

日本国内における一般消費税は消費税法の消費税と地方税法の地方消費税の総称です。

一般消費税には付加価値税などがあり、酒税やガソリン税、たばこ税などは個別消費税に該当します。

日本では個別消費税である酒税などに対して一般消費税が課税されており、税金に税金が課税されている状態です。

一方で直接消費税に該当するゴルフ場利用税や入湯税、軽油取引税は利用者が納税義務者となります。

利用明細書などにより本体価格と税金が明確に区分されており、個別消費税を含めず本体価格のみを課税標準標準として消費税が課税されます。

関税は国境や国内の特定の地域を通過する物品に対して課される税であり、一般的には国境関税(外部関税)のみを指します。

現代社会では多くの国々で国内関税が廃止され、国内の産業保護や財政上の理由から輸入貨物に対して課税が行われています。

関税も間接消費税の一種に分類されます。

消費者の消費行動は所得があることが前提となっています。

所得税を課税する際に納税者の所得が十分に把握できないことがあり、正確に税金を集めるのは困難です。

消費行動に課税すれば所得税で把握できない所得にも間接的に課税できます。

ただし所得には消費される部分だけでなく貯蓄に回される部分があります。

所得額と消費額は必ずしも一致しておらず、実際には消費者の消費性向の影響を受けます。

消費性向:可処分所得のうち消費に回される割合。
貯蓄性向:可処分所得のうち貯蓄に回される割合。

消費性向と貯蓄性向の和は1となります。

日本は海外の先進国と比較して貯蓄性向が高いとされてきましたが、高齢化や非正規雇用化による貧困層の増大によって低下し続けています。

所得が減少しても貯蓄性向が低下し、消費性向が高まれば消費税の負担は増えます。

一般的な消費者が使える所得の割合がさらに減るので、経済は停滞することになります。

以下の図は消費税の諸類型を分類したものです。

会計ソフトの種類と特徴

 ・会計ソフトとは

会計ソフトは企業における全ての資金の流れを管理・集計し、決算書を作成できるシステムのことです。

紙の帳簿を使う場合には売掛・買掛や入金・出金、振替など資金の動きをそれぞれ伝票に記載しなければなりません。

さらに仕訳帳に転記して総勘定元帳にも転記する作業が必要となるため、簿記の知識が求められます。

会計ソフトを使えば、自動で勘定科目を選んで仕訳が行われシステム上で集計されることになります。

転記をしなくてよいのでミスがなく、会計業務の負担を大幅に軽減できます。

決算書や試算表も自動で集計できるようになっており、簡単に会社の財務状況を確認できるというメリットもあります。

様々なITシステムの中でも会計ソフトは利用者数が多く種類も豊富です。

会計ソフトの種類が多い主な理由としては、まず企業規模の違いを挙げることができます。

企業の規模が変われば部門別管理や連結決算が必要になるため、会計ソフトに求める機能も変化します。

中小企業は単純な機能だけでも問題ありませんが、大企業では複雑な制度に対応した機能を持つ会計ソフトが必要になります。

財務会計と管理会計のどちらを重視するかも、会計ソフト選びでは重要です。

会計業務には帳簿管理や決算書作成などを行う財務会計と、事業ごとの損益計算や原価計算などを行う管理会計があります。

財務会計と管理会計のいずれを重視するかが企業によって異なることも、会計ソフトの種類が豊富な理由の1つです。

利用者層の違いも会計ソフトの種類が多様化する理由となっています。

実際に会計ソフトを使うのは経理担当者だけでなく、経営者自身が使う場合もあれば、会計業務を任された営業や現場のスタッフが使う場合もあります。

機能性が優れた会計ソフトは大企業における複雑な会計業務に対応しており、簿記の知識に精通した経理担当者が使うことを想定しています。

単純な機能だけを備えた会計ソフトが想定する利用者は、日々の売上を記録する個人商店の経営者などです。

会計ソフトには様々なものがありますが企業の規模や、財務会計と管理会計のいずれを重視するか、実際に使用する人の簿記の知識などを考慮すると選びやすくなります。

タイムスタンプ機能や自動仕訳機能のような最新の機能を備えているかどうかも会計ソフトを選ぶ際の重要な判断基準です。

 国税帳簿書類の電子データによる保存を認める法律として電子帳簿保存法が1998年7月に制定され、2005年にはe-文書法の施行に伴って改正され、紙媒体の国税関係書類を電子化して保存できるようになりました。

2015年には電子署名が不要になり、3万円以上の契約書や領収書もスキャナで保存できるようになります。

さらに2016年の税制改正に伴って規則が改正され、デジカメやスマートフォンでの保存も可能となりました。

以前は原稿台を備えたスキャナしか利用できませんでしたが、電子データ保存の要件が緩和されたため、スマートフォンで撮影したレシートの写真もタイムスタンプなど一定の要件を満たすと原本として認められます。

タイムスタンプはその時間に書類が存在しており、その後に変更されていないことを証明する技術です。

最近の会計ソフトにはタイムスタンプ機能が追加され、ソフトの中で押せるようになっています。

電子データ保存機能がある会計ソフトを使えば、経理担当者の負担が大幅に軽減できるだけでなく、ペーパーレス化が進み書類を保存するスペースを小さくできます。

申請をする際に糊で書類を貼る作業が不要になり、出先からスマートフォンで申請できるので便利です。

クラウド型会計ソフトには自動仕訳機能を搭載したものが存在します。

入力された文字や読み取った文字からAIが勘定科目を推測し仕訳をしてくれます。

仕訳以外にも消込やエラーを確認する機能などがあるので、大量のデータを効率的に処理できます。

消込とは売掛金・買掛金などの債権・債務の勘定科目の残高を消していく作業のことです。

売掛金の入金があった場合には支払明細と照合しながら入金されたデータを消すと、回収状況や売掛金残高とデータとのずれなどを確認できます。

商品代金が入金された場合に行われるのが入金消込で、代金を支払った場合に行われるのが支払い消込です。

企業規模が大きくなるほど消込が多くなり作業が煩雑化するため、月次決算の締めが遅れる原因になります。

AIを活用した会計ソフトを導入すればミスを減らして作業を効率化できます。

・インストール型とクラウド型

会計ソフトにはインストール型とクラウド型の2種類があります。

インストール型は以前から広く使われており、一般購入してパソコンにインストールすれば月額料金は発生しません。

ただし法改正などでバージョンアップが必要になる場合があり、ソフトによってはバージョンアップに別料金がかかることがあります。

またバージョンアップのための作業が必要になる場合もあり、手間がかかってしまうので注意が必要です。

インストール型は複雑な作業を素早く行うことができ、使う場所やパソコンが決まっている場合などに適しています。

長年にわたって広く利用されてきた実績があり現在でも高いシェアを占めます。

クラウド型の会計ソフトは初期費用がほとんど不要です。

月額料金が発生しますが総合的な費用を平準化できます。

さらに使い勝手や機能などに問題があり他のソフトに変えたい場合にはいつでも解約が可能です。

クラウド型の会計ソフトはバージョンアップ作業が不要なのでメンテナンスに手間がかかりません。

データはクラウドに保存されており、ハードウェアの障害によるデータ消失を防げます。

インストール型の会計ソフトの中にも、クラウドにデータを保存可能なサービスやオプションを提供しているものがあります。

クラウド型の会計ソフトはパソコンを他の人と共有する必要がないので、IDを発行すれば誰でもデータにアクセスが可能で、複数人による同時作業もできます。

経費精算システムを使わず会計ソフトに直接的に伝票入力する場合、クラウド型ならば領収書をスマートフォンで撮影して出先でも処理できるので便利です。

オフィスの外に出る用事が多い場合にはクラウド型の会計ソフトを導入すれば効率的に経費を処理できます。

・会計ソフトの様々なメリットとは

1.業務の効率化

会計ソフトを導入すると勘定科目の入力作業が簡単になるだけでなく、ミスが少なくなります。

入力作業を補助する機能を備えており、交通費と入力した場合には勘定科目欄に旅費交通費が自動入力されるだけでなく取引先を履歴から選べます。

伝票入力したデータは会計ソフト上で集計されるので、手書きやエクセルを使う場合のように伝票の内容を個別に仕訳帳や総勘定元帳へ転記する必要がありません。

入力漏れや数字の間違いなどのミスをしなくて済みます。

会計ソフトでスキャン機能を使うと読み取った内容が自動入力されます。

入力する手間を省けるだけでなく、内容を確認するだけでよいので効率的です。

スマートフォンで使える会計ソフトならば、外出先でも経費などの入力ができます。

会計ソフトを使うと会計事務所とデータを共有できるので、決算ごとに郵送したり確認のために来てもらう必要がなく、修正箇所があればすぐに直してもらえます。

データをソフト上で保存できるので、帳簿の紛失やエクセル・データの誤消去のようなトラブルを回避できます。

紙の帳簿やエクセルを使う場合には売掛・買掛、入金・出金、振替のような資金の動きを各伝票に記載して、仕訳帳と総勘定元帳に転記しなければなりません。

会計ソフトで摘要欄を選んで入力すると、自動で勘定科目を選んで仕訳が行われるだけでなく税区分も自動入力されます。

適用欄で交通費を選んだ場合の勘定科目は旅費交通費、文房具代を選んだ場合は事務用品費のように自動仕訳されるので、会計の知識がなくても簡単に使えます。

会計に関する知識がなくてもソフトを使うことができるため、経理担当者を雇わずに経営者が自ら作業を行うことも可能です。

事業開始直後など経理担当者を雇う余裕がない場合に会計ソフトを導入すれば、費用を抑えることができます。

大企業も会計ソフトを使えば、各地の営業拠点における経理業務を本社に集約して費用を削減できるため経済的です。

2.不正行為の防止

手書きやエクセルで帳簿を作成する場合と異なり、会計ソフトを使うと入力履歴が残ります。

さらに伝票かあら帳簿に自動で転記されるので、改ざんが難しく不正が起こりにくいというメリットが存在します。

伝票に1万円と入力した場合には元帳にも自動で1万円と入力されるため、1千円とごまかすことは不可能です。

3.経営改善

決算表や試算表などは会計ソフト上で帳票を出力すれば最新のデータをすぐに確認できます。

会計ソフトは問題点を素早く発見して経営を改善するのに役立ちます。

・会計ソフトを導入する際の注意点とは

会計ソフトを導入しても大きなデメリットはありませんが、インストール型の場合は法令改正などの際のアップデートを自分で行わなければならないので注意が必要です。

法令改正などを見逃したりアップデートを忘れると、古い方法で書類を作成する可能性があります。

ソフトをダウンロードしてパソコンにインストールし、法令改正などに合わせてアップデートしたりデータをバックアップするなどの作業を自分で行うことに不安がある場合は、クラウド型を選ぶとよいでしょう。

クラウド型の会計ソフトならばインストール型と比較してより直感的に使うことができ、常に最新の状態に管理されているので安心です。

ただしクラウド型の会計ソフトは、長期間使用する場合にインストール型よりも費用がかかる可能性があります。

毎月の利用料は数千円でも3年ほど使えば10万円を超えることもあるので、費用を抑えて長期使用したい場合にはインストール型がおすすめです。

クラウド型は初期投資が少なくソフトウェアの乗り換えが簡単にできるため、一定期間経過後の交換を検討している場合などにおすすめできます。

インターネット環境によってはクラウド型だと動作が遅くなる可能性があります。

導入する前に無料トライアルなどを利用して動作を確認するとよいでしょう。

・会計ソフトの主な機能について

会計ソフトの機能は主に入力支援と承認申請支援、決算処理支援とその他の4種類に分類できます。

1.入力支援機能

伝票を入力したときに項目を選ぶと自動で仕訳が行われる機能は会計ソフトの基本です。

入力する件数が多いと担当者の負担も大きくなるので、自動入力支援機能のあるソフトを選べばさらに業務を効率化できます。

銀行口座やクレジットカードの利用明細を金融機関からCSVファイルでダウンロードして、会計ソフトと連携すれば自動的に取込・仕訳が行われます。

入力支援機能を使うには最初に設定を行う必要がありますが、一旦設定をすれば次回からは取込だけなので効率的に作業ができ、人的なミスも減らせます。

入金・出金以外に売掛金・買掛金の消込も記録できるので、頻繁に資金の動きがある企業に最適の機能です。

入力した情報は修正できるため改ざんの可能性が考えられますが、会計ソフトは金融機関から得た情報を扱うので心理的に改ざんしにくいというメリットもあります。

OCR(Optical Character Recognition/Reade)とは光学的文字認識のことで、手書きや印刷された文字をスキャナやデジタルカメラで読み取り、コンピュータが利用可能なデジタルの文字コードに変換する技術です。

この技術を使えば画像情報のテキスト部分を認識して文字情報に変換できるため、人間が情報を入力する必要がありません。

OCR機能のある会計ソフトを使えば、仕訳伝票を読み取って会計情報を自動的に作成してくれます。

誤入力の修正や自動で読み込みができない項目の手入力を行う必要があるものの、業務効率を格段に向上させることが可能です。

最近ではスキャナだけでなくスマートフォンで撮影し情報を入力できるものも増えており、移動中など外出中でも処理できます。

2.承認申請支援機能

エクセルファイルは共有なので誰でも閲覧・編集が可能ですが、会計ソフトは予め設定された入力者や承認された者だけが操作できるように権限管理機能を備えています。

担当者以外の人間が勝手に操作するなどの不正を防止できます。

入力情報や承認・申請の状態などを会計ソフト上で確認できるため、担当者の手間を省けるというメリットもあります。

承認機能を使うには、未承認案件の集計時の扱いについて注意しなければなりません。

未承認のものを集計対象外にすれば、確定した案件だけが集計されます。

情報の確実性が向上しますが、未承認の状態で入力されている情報が反映されないので正確な状況判断ができません。

未承認案件を集計時に含めるかどうかを選べる機能を備えた会計ソフトを選べば、状況に応じて使い分けられるので便利です。

3.決算処理支援機能

会計事務所との間で情報のやり取りを会計ソフト上で行うことができれば、決算時のコミュニケーションが効率化されます。

決算時は企業も会計事務所も忙しいので、会計ソフトを導入すれば業務効率が向上します。

記帳代行や決算書作成、税務申告書作成などの業務を会計事務所に任せる場合には、会計ソフトの情報を共有できると便利です。

各会計事務所では使用している会計ソフトが異なるので、どのソフトを使っているかどうかを事前に確認するとよいでしょう。

4.その他の機能

会計ソフトには情報のバックアップ機能があるので、紙の帳簿のように紛失する心配がありません。

ただしインストール型だとパソコンが故障したり紛失する可能性があります。

より安全に情報を保存したいのであれば、クラウド型を選ぶとよいでしょう。

会計制度は毎年のように法改正が行われており、マイナンバー制度や消費税率の変更、新元号への対応なども必要になります。

クラウド型の会計ソフトならば自動的に最新の状態にアップデートしてくれるので、安心して使い続けることができます。

インストール型の会計ソフトは自分でアップデートしなければなりませんが、サポートが受けられる場合もあります。

サポート体制や料金を確認した上で使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

変化に対応できないソフトだと買い替えが必要になるので、導入費用だけでなくサポート体制についても事前に確認することが大切です。

会計ソフトの中には外貨管理機能を備えたものがあります。

海外との取引を頻繁に行うなど外貨を扱う場合には、この機能を備えたソフトがおすすめです。

・最適な会計ソフトの選び方

領収書をスキャンでき操作性の優れた会計ソフトを選べばスタッフの負担を軽減できます。

さらにAIによる自動仕訳機能や銀行口座明細の自動取込機能、消込機能などがあると便利です。

これらの機能を備えた会計ソフトを選べば、口座の入金・出金を頻繁に繰り返す場合など業務を効率化できます。

一方で現金の取り扱いが多い場合には現金出納帳の画面が見やすいものや、操作性の優れたものを選ぶとよいでしょう。

インストール型の会計ソフトはパソコンの扱いに慣れているのであれば、インターネット上でダンロードしてインストールすればすぐに使うことができます。

すぐに使いたいのであれば、より迅速に導入できるクラウド型がおすすめです。

リモートワークをする場合や営業拠点が複数ある場合にもクラウド型が適しています。

クラウド型ならば、会社から貸与されたスマートフォンを使って、外出中でも申請から承認までの手続きが可能です。

インストール型はWindowsのみに対応しているものが多く見られますが、クラウド型はMacにも対応しています。

クラウド型は導入費用が安く、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも使えます。

インストール型はバージョンのアップデートが有料ですが、クラウド型は無料です。

パソコン1台につき1ライセンスが必要などの制限もあります。

クラウド型は別の端末を使って複数人で利用できます。

インストール型は複雑な会計処理に対応しているものが多いので大企業に最適です。

個人事業主や中小企業の場合はクラウド型でも十分な機能を備えています。

複雑な会計処理が不要な場合にはクラウド型を選ぶとよいでしょう。

インストール型の代表的な会計ソフトには「JDL IBEX出納帳 Major」や「会計王」、「わくわく財務会計」、「MJSかんたん!会計」などがあります。

クラウド型の代表的な会計ソフトは「マネーフォワード クラウド会計」や「freee」、「HANJO会計」、「ネットde記帳」などです。

両方のタイプを備えているものには「弥生会計」や「勘定奉行」があります。

料金や機能などはそれぞれのソフトで異なるので、比較検討して最適なものを選ぶとよいでしょう。

インストール型の「JDL IBEX出納帳 Major」ならば無料で利用できます。

「マネーフォワード クラウド会計」や「freee」、「HANJO会計」、「会計王」、「わくわく財務会計」、「MJSかんたん!会計」、「弥生会計」、「勘定奉行」には無料体験期間が設定されています。

まずは無料体験期間が設定されているものを試してみるとよいでしょう。

青色申告をするために必要な手続き

 青色申告の様々な特典を利用するためには、税務署に対して定められた手続きを行う必要があります。

事業所得と不動産所得、山林所得があり青色申告の承認を受けようとする場合は、青色申告申請手続きの対象とされます。

・届出をする税務署

適用を受けるためには「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出します。

「所得税の青色申告承認申請書」は国税庁のホームページからダウンロードできます。

基本的に住所地が納税地とされますが、住所地以外の場所で事業を行っている場合は事業所がある場所でも納税が可能です。

事業所のある場所を納税地とするには、青色申告の承認申請とは別に所得税・消費税の納税地の変更に関する届出が必要になります。

・届出を行う時期

青色申告を行うためには期限内に青色申告承認申請書を所轄の税務署に提出しなければなりません。

提出期限は以下の2つのパターンがあります。

1.青色申告書で申告しようとする年の3月15日まで

2.その年の1月16日以後に新規の事業を始めたり不動産の貸付を行った場合は、事業開始などの日から2か月以内

上記の他に相続などで事業を引き継いだ場合にも特別な提出期間の定めが存在します。

提出期間を経過してから申告書を提出した場合、その年度には適用が受けられませんが、翌年から適用を受けられるようになります。

・申請書の具体的な内容

申請書の記載内容には以下のようなものがあります。

1.住所や氏名、生年月日などの個人情報

2.青色申告の適用を希望する時期

年の途中で開業する場合でも、提出期間に間に合うのであれば必ず開業年から適用を受けるようにすることが大切です。

提出期間を過ぎてしまうと開業年の分は適用が受けられず、翌年度分から受けることになります。

3.事業所に関する情報や事業の種類

4.複式簿記・簡易簿記の選択など採用する会計処理方法

青色申告では簡易簿記や現金式簡易簿記だと10万円の控除は受けられますが、複式簿記ならば65万円もの控除が受けられます。

複式簿記は会計ソフトを使えば会計のことを知らない人でも対応できます。

また備え付ける帳簿類についても選ばなければなりませんが、会計ソフトで日常的な処理を行っていれば必要な情報が整理できるので心配は不要です。

現金の出入りが記載されている現金出納帳や売掛帳などは会計ソフトで出力できます。

・青色申告の注意点

開業を考えているのであれば、開業届と一緒に青色申告の承認申請書も提出するとよいでしょう。

事業を始めたばかりの頃は売上がないため赤字になるケースも多く見られます。

開業した年が赤字でも青色申告の承認申請をしておけば赤字を翌年以降に繰り越せます。

青色申告の適用を受けていないと赤字を切り捨てることになるので、翌年度が黒字ならば納税額が高くなってしまいます。

青色申告特別控除は毎年の所得税申告でも節税効果を発揮するので、継続性の高い事業を開始する場合には一緒に青色申告の承認申請をするのがおすすめです。

会計処理を行った場合には、領収書や請求書などの資料を原則として7年間にわたって保管しなければなりません。

領収書などの整理は会計ソフトを利用すれば簡単に行うことができます。

自ら整理を行う余裕がない場合には税理士に相談することも考えられますが、会計ソフトを使って自分で作業をすれば費用を抑えられるので経済的です。

・青色申告の種類について

青色申告には簡易簿記と現金式簡易簿記、複式簿記の3種類があります。

1.簡易簿記

簡易簿記の控除額は最高10万円で記帳方法は発生主義とされています。

発生主義は入金や出金がある日付には関係なく、収入や支出の原因となる経済的事実が発生した日付で収益や費用を計上する方法です。

白色申告も青色申告も基本的に発生主義で記帳しますが、青色申告において現金主義で記帳する場合は現金式簡易簿記の事前申請が必要になります。

現金主義とは入金や出金がある日付で収益や費用を計上する方法です。

4月10日にパソコンをクレジットカードで購入し、5月20日に引き落とされたと仮定すると、発生主義の場合は4月10日に費用を計上し、引き落とし日である5月20日にも記帳します。

発生主義では原因が発生した日とお金の動きが発生した日の2回記帳しなければなりません。

現金主義ならば実際に代金が引き落とされた5月20日の1回だけ記帳すれば足ります。

簡易簿記では所得要件がなく、申告時には「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

期限後の申告も可能となっています。

確定申告に必要な書類は、青色申告決算書(一般用)と確定申告書B、添付書類台紙です。

現金出納帳や売掛帳、買掛帳、固定資産台帳、経費帳など必要に応じて帳簿を作成します。

事業の種類によって実際に作成する帳簿は異なりますが、現金出納帳などが標準的な帳簿とされています。

2.現金式簡易簿記

現金式簡易簿記は控除額が最高10万円で、現金主義で記帳する必要があります。

申請書は「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」です。

現金式簡易簿記には所得要件があり、前々年の所得が300万円以下であることが求められます。

期限後の申告も可能となっています。

確定申告書類は青色申告決算書(現金主義用)と確定申告書B、添付書類台紙です。

必要な帳簿は現金出納帳のみですが、現金以外の取引もある場合はその帳簿も作成しなければなりません。

3.複式簿記

複式簿記の控除額は最高65万円となっており、発生主義で記帳します。

申請書は「所得税の青色申告承認申請書」で所得要件はありませんが、期限内に申告する必要があります。

確定申告書類は青色申告決算書(一般用)と確定申告書B、添付書類台紙です。

複式簿記では総勘定元帳と仕訳帳を作成する必要があります。

さらに必要に応じて現金出納帳や預金出納帳、買掛帳、売掛帳、固定資産台帳、給与台帳などを作成します。

現金出納帳などの簡易帳簿だけでは最高65万円の控除を受けることができず、10万円までの控除が受けられます。

簡易帳簿に加えて債権債務等記入帳を作成し、全ての取引を記録すれば正規の簿記の原則に従うことになるため最高65万円の控除を受けることができます。

預金出納帳や受取手形記入帳、支払手形記入帳、特定取引仕訳帳、特定勘定元帳などが債権債務等記入帳に含まれる帳簿です。

複式簿記では取引が発生すると標準的な簡易帳簿と債権債務等記入帳に取引を記録します。

記帳の際には摘要欄に相手方の勘定科目を記載して、仕訳帳や元帳としての機能を持たせます。

現金や売掛金、買掛金や預金、受取手形、支払手形の期末残高は、最終的に各簡易帳簿から試算表に転記します。

その他の科目も摘要欄を集計して試算表に転記することになります。

貸借対照表や損益計算書など決算書は試算表に基づいて作成します。

・簡易簿記と複式簿記の違いとは

簡易簿記は小遣い帳などと同じく原因が発生するごとに記帳します。

現金の増加・減少が生じた場合には、それぞれの原因を現金出納帳に記録することになります。

複式簿記の場合は1つの取引を2つの要素に分解して記帳します。

現金で何らかの費用を支払った場合には、費用を計上すると同時に資産が減少したことについても記録しなければなりません。

電話代やインターネット代を支払ったときには費用について通信費を計上し、資産については現金が減少したことを記帳します。

土地など固定資産を取得した場合には、固定資産の増加と現金の減少についてそれぞれ記録しなければなりません。

複式簿記では1つの取引を要素に分解して総勘定元帳に記録する必要があります。

1年間の総勘定元帳の記録に基づいて試算表や貸借対照表、損益計算書などの決算書を作成します。

簡易簿記の場合は表計算ソフトやノートなどを使えば誰でも簡単に作成できます。

複式簿記は様々な勘定科目について仕訳を行わないといけないので、会計ソフトを利用した方がよいでしょう。

・白色申告と青色申告の簡易簿記の違いとは

白色申告をする場合の簡易簿記では現金売上を日々の合計金額のみ一括記載できます。

業種を問わず現金売上や現金仕入れ、雑収入等、経費のうち少額のものは日々の合計金額の一括記載が可能です。

ただし雑収入等は事由ごと、経費は項目ごとに一括記載します。

売上や仕入れの中でも、保管してある納品書控や請求書控などで内容が把握できる取引は日々の合計金額を一括記載できます。

掛による売上や仕入れで納品書控や請求書控を保管しており内容を確認できる場合は、日々の記載の省略が可能です。

この場合には現金主義会計が適用されるため、現実に代金を受け取ったときや支払ったときに現金売上や現金仕入れとして記載します。

現金主義会計が適用される場合でも年末には発生主義会計に置き換える必要があり、売掛金や買掛金の残高を記載することになります。

白色申告をする個人で事業や不動産貸付等を行う全ての者は、記帳だけでなく一定期間にわたって帳簿書類を保存しなければなりません。

青色申告をする場合の簡易簿記では、複式簿記によらず簡易的な方法で帳簿を作成すれば足ります。

白色申告の簡易簿記では日々の合計金額の一括記載が可能でしたが、青色申告の簡易簿記では各取引ごとに記録しなければなりません。

・簡易簿記から複式簿記に変更するには

青色申告で最高65万円の特別控除を受けるためには、確定申告書と損益計算書だけでなく貸借対照表を添付します。

必要な帳簿を作成するために、記帳などは各年の1月から始めます。

正規の簿記の原則に従って記帳などを行っていた場合であれば問題はありません。

それ以外の場合には各年の1月から事業用の財産とその他に区分して記帳する必要があります。

貸借対照表の作成が必要なので資産や負債の金額も整理します。

正規の簿記の原則に変更するためには必要になる帳簿や記帳などを予め検討しなければなりません。

事業の状況に合った帳簿を選び、必要な勘定科目を決めることになります。

白色申告の簡易簿記だと控除額は0円です。

青色申告の簡易簿記ならば最高10万円の控除が受けられますが、複式簿記の最高65万円の控除と比べるとメリットが小さくなるので注意してください。

青色申告と白色申告とは

 ・青色申告と白色申告の違い

確定申告では年間の所得と納税額を税務署に申告しなければなりませんが、具体的な申告方法には青色申告と白色申告の2種類があります。

不動産所得や事業所得、山林所得がある事業者は毎日の取引を帳簿に記録します。

青色申告は帳簿の記載事項を確定申告書に記載して申告する制度です。

帳簿は基本的に複式簿記で記録しなければならないため手間がかかりますが、事業で得た収入から最大65万円を無条件で控除できます。

最大65万円の控除によって納税額が安くなるため、白色申告と比べて節税効果が高いというメリットがあります。

青色申告を行うためには事前に税務署に申請書を提出して承認を受けます。

白色申告は青色申告の申請書を提出していない事業者が行う制度です。

2014年から全ての白色申告者に帳簿への記帳と、5年から7年の帳簿等の保存が義務付けられました。

帳簿作成の手間という点で白色申告と青色申告の間に大きな違いはありません。

白色申告は1種類の方法だけですが、青色申告は帳簿の付け方によって2種類の方法に分類できます。

青色申告には10万円控除と65万円控除の2種類があるため、確定申告の方法は全部で3種類存在します。

白色申告(控除なし)→青色申告(10万円控除)→青色申告(65万円控除)の順に節税効果が高くなります。

・青色申告の様々なメリット

青色申告に以下のようなメリットが存在します。

1.青色申告特別控除

青色申告を選ぶと複式簿記で帳簿を付けることになりますが、無条件で65万円の控除が受けられます。

ただし65万円の控除を受けるためには、基本的に翌年の3月15日までに確定申告書を提出することが条件とされています。

期日を過ぎると10万円の特別控除になってしまうので注意してください。

2.純損失の繰越控除

開業して間もない時期や事業を拡大している時期は、経費が増えて赤字になるケースが多く見られます。

純損失の繰越控除制度を利用すれば、その年の事業による赤字を翌年以降3年間に発生した黒字と相殺できます。

前年の赤字が100万円で翌年に200万円の黒字となった場合は、白色申告だと200万円について納税しなければなりません。

青色申告ならば純損失の繰越制度が使えるので、200万円から前年の赤字分の100万円を差し引いた残りの100万円についてだけ納税すれば足ります。

3.青色専従者給与

基本的に家族に支払う給料などは経費として計上できません。

青色申告では税務署に届出をすると一緒に生活している配偶者など家族へ支払う給料を経費にできます。

この制度を利用するには給料が業務に見合っていることや、専業で業務を行っているなどの条件があります。

白色申告にも専従者控除制度があるものの、控除できる金額は最大で86万円です。

青色専従者給与制度の場合は控除額に上限がありません。

4.少額減価償却の特例

自動車やパソコン、カメラなど1年以上使う備品で10万円以上するものは使用期間に応じて費用に計上するため減価償却を行います。

ただし青色申告の届出を行った事業者は少額減価償却の特例を受けることができ、30万円未満の固定資産を購入した場合に全額を費用に計上できます。

白色申告と比べて青色申告は早く費用に計上できるため税金が安くなります。

少額減価償却の特例を利用できる資産の合計金額は年間で300万円までと上限が設定されています。

申告前には資産の合計金額が300万円を超えていないことを確認してください。

5.家事按分

自宅と事務所を兼ねる場合の家賃や電気代などは家事関連費に該当します。

家事関連費は家事按分をすれば事業の経費として計上できます。

ただし経費に計上できるのは業務に関係のある部分だけなので、合理的な割合で按分しなければなりません。

自動車の減価償却費やガソリン代、保険料やインターネット代、電話料金なども家事按分の対象となっています。

確定申告を簡単に行うには

・確定申告の具体的な手続きとは

確定申告の大まかな流れは以下の通りです。

1.申告用の書類を集める。
2.申告書を作成する。
3.申告書と添付書類を提出する。
4.納税・還付の手続きを行う。

・必要な書類を集める

確定申告で医療費控除を受ける場合には医療費を、寄付控除を受ける場合には寄付金を申告しなければなりません。

自営業者の場合は1年間の売上金額と経費を申告する必要があります。

医療費控除を受ける場合は年間の医療費と支出先、誰に関する医療費なのかが分かる書類が必要です。

病院から受け取る領収書やドラッグストアのレシートなどは1年間分を保管してください。

各族全員分をまとめて申告できるので、自分の分だけでなく家族の分も捨てずに保管することが大切です。

ふるさと納税を行い寄付金控除を受ける場合には、納税後に各自治体から寄付金受領証明書が送付されてきます。

サラリーマンの場合は勤務先の会社から年末や年明けに源泉徴収票をもらえますが、最近ではメールで内訳だけ送られるケースもあります。

確定申告には源泉徴収票が必要になるので、手続きを行うのであれば会社から原本を受け取ってください。

・申告書の作成が必要です

確定申告では申告書類を作成する必要があります。

医療費控除を受ける場合には「医療費控除の明細書」も作成して一緒に添付します。

申告書には1年間の収入と控除の内訳を全て記入するので、会社が年末調整を行っている場合でも源泉徴収票の内容を転記しなければなりません。

申告書の用紙は税務署や申告会場だけでなく国税庁のホームページからも入手できます。

・申告書と添付書類の提出

確定申告の申告書は手続きを行う人全てが提出しますが、添付書類は申告内容によって変化します。

例えば医療費控除を受けたい場合は医療費控除の明細書が必要になります。

ふるさと納税による寄付金控除を受ける場合には寄付金の受領証明書が必要です。

また控除を受ける際には源泉徴収票も添付します。

申告書の提出方法は以下の3種類です。

1.管轄の税務署や確定申告会場に持参する。
2.管轄の税務署に郵送する。
3.電子申告(e-Tax)を使う。

毎年確定申告の時期になると日本全国の様々な場所に申告会場が設置されます。

ただし申告書はどこの税務署に提出してもよいわけではなく、基本的に居住地の税務署が管轄となります。

e-Taxを使えばインターネット上で申告の手続きが可能です。

寄付金や生命保険、地震保険の控除証明書、医療費の領収書など一部の第三者作成書類は、記載内容を入力して送信すれば添付が免除されます。

・納税・還付の手続き

確定申告によって具体的な所得税の納税額が決まります。

源泉徴収された分では不足する場合には追加で納付が必要となりますが、払い過ぎていた場合には還付を受けられます。

給与収入しかないサラリーマンが確定申告を行う場合には、基本的に還付の手続きをすることになります。

還付金は銀行振込で受け取るので、指定する口座についても申告します。

・申告手続きのポイントとは

税金を払い過ぎていた場合には、5年間逆上って還付申告を行うことができます。

知識がなく控除の具体的な内容が分からないような場合には税金を払い過ぎている可能性があります。

具体的に何は控除の対象となるかを確かめた上で、払い過ぎていた場合には還付を申告するとよいでしょう。

確定申告の申告書には様々な記入欄がありますが、実際に記入するのは自分が該当する欄だけです。

申告書の記入を間違えた場合には後から訂正しなければならず手間がかかるだけでなく、過少申告加算税が発生する可能性もあります。

記入が必要な項目について十分に確認した上で申告書を作成することが大切です。

・確定申告を簡単に完了させるには

確定申告を簡単に済ませる方法には以下の3種類があります。

1.確定申告書等作成コーナー

国税庁のホームページには確定申告書等作成コーナーが毎年開設されており、インターネット上で申告書を作成できます。

確定申告書等作成コーナーでは画面上で申告内容を選び、金額などを入力すれば必要事項が記入された申告書が作れます。

申告後に還付される金額や追加で納付が必要になる金額も画面上に表示されるので便利です。

確定申告書等作成コーナーは2018年までパソコン用サイトのみ存在しましたが、2019年からはスマートフォン用サイトも開設されています。

パソコンを持っていなくても、スマートフォンがあれば簡単に確定申告書が作成できます。

2.電子申告

電子申告(e-Tax)を利用するにはマイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です。

もしくはIDとパスワードを税務署で発行してもらえば利用できるようになります。

電子申告ならば添付書類が一部不要になるだけでなく、申告書類を送付したり税務署へ持参する必要がありません。

自宅から確定申告の手続ができるため効率的です。

3.確定申告会場

確定申告の具体的な手続き方法が分からない場合や、確定申告書等作成コーナーの使い方が分からない場合は、必要と思われる書類を全て用意して確定申告会場を訪ねるとよいでしょう。

会場では相談コーナーが設けられているので、スタッフと相談しながら申告書を作成できます。

不明な点があればすぐにスタッフに質問でき、具体的な申告書作成の流れを確認できるので、翌年からの申告を行う際にも役立ちます。
 

確定申告が必要になる人とは

・確定申告が必要な人

1.副業による所得が20万円を超えたサラリーマン

サラリーマンは基本的に確定申告が不要ですが、副業で20万円を超える所得があった場合には申告が必要になります。

所得税は1年間の合計金額に対して累進課税されており、申告の際には所得の種類ごとに収入を集計します。

副業で得た所得が20万円を超える場合には、給与所得や雑所得など所得の種類について確認することが大切です。

2.不動産を売却して利益を得た人

不動産を売却して利益が発生した場合は確定申告が必要になります。

給与所得者で確定申告が不要な場合でも、不動産の売却益がある場合は税務署から申告書の用紙が届きます。

不動産売却による利益は譲渡所得に分類されるので、他の所得とは別に分離課税が行われます。

他の所得とは分離するので、売却損が発生した場合でも損益通算によって赤字と黒字を相殺することはできません。

ただし2つ以上の土地や建物を売却し、片方に利益が発生してもう片方に損失が発生した場合には、利益と損失を相殺できます。

マイホームを売却して利益が発生した場合にも確定申告が必要ですが、譲渡益が3000万円までであれば税金が発生しないという特例があり、損失が発生した場合には損益通算も可能です。

3.贈与を受けた人

両親などから110万円を超える贈与を受けた場合は贈与税の申告が必要になります。

生活費や教育費として贈与された財産は申告の対象外です。

贈与税は個人から財産の贈与を受けたときに発生する税金であり、基礎控除額の110万円を超える場合に課税されます。

一般的に贈与した人が納税するイメージがありますが、実際には贈与を受けた人が支払わなければなりません。

住宅購入の頭金などの目的で贈与を受けた場合には、「住宅取得等資金贈与の非課税の特例」を利用できます。

この特例を使う場合には贈与税が発生せず、基礎控除の110万円と限度額の700万円まで非課税とされます。

省エネ住宅の場合は合計1310万円まで非課税となります。

4.両親などから相続した住宅を売却した人

両親などから住宅を相続したものの空き家となっており、売却した場合には確定申告が必要です。

平成28年の税制改正では、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が新設されました。

この特例では平成28年4月1日から平成31年12月31日までに相続した空き家などを売却し、一定の条件を満たしている場合に、確定申告をすれば3000万円の特別控除が受けられます。

5.株式の取引で特定口座の源泉徴収選択口座を指定していない人

株式の売買で得た利益や退職金などは、給与所得など他の所得とは合算しません。

特定の所得に対して課税する分離課税なので、サラリーマンの場合でも給与とは別に計算する必要があります。

頻繁に株式の取引を行う場合は、証券会社に特定口座を開設するのが一般的です。

特定口座には税金が源泉徴収される口座とされない口座が存在します。

前者が源泉徴収選択口座で、後者は簡易申告口座です。

源泉徴収選択口座で取引を行っていれば、源泉分離課税が行われているので確定申告が不要です。

6.投資信託を売却した人

投資信託では1つのファンドで株式や債券、不動産などの運用が行われるため、税金は商品の内容によって変わります。

一般的に投資信託に関する税金は源泉徴収されるので確定申告は不要です。

「株式型」の投資信託の場合は売却や償還、解約に関わらず利益が発生した場合に20%の税金がかかります。

実際には20%の所得税の他に復興特別所得税が加算されます。

源泉徴収が行われる特定口座を選んでいない場合は、投資信託を売却して利益が発生すると確定申告をしなければなりません。

ただし分配金の中には特別分配金のように非課税となるものも存在します。

7.保険の満期金を受け取った人

保険が満期になった場合や解約した場合に受け取る保険金は、一時所得に該当するので確定申告が必要です。

ただし受け取った保険金の全額に課税されるわけではありません。

払い込んだ保険料よりも受け取った保険金が少ないなど、損失が発生している場合は確定申告が不要です。

8.公的年金の受給者

公的年金を受給している人で源泉徴収が行われておらず、受給額から所得控除を差し引いた後の金額が余る場合は、差額が所得と見なされるため確定申告が必要です。

所得控除には生命保険や扶養などがあります。

年金の源泉徴収が行われている場合は基本的に確定申告が不要です。

しかし源泉徴収が行われていても、公的年金などの年間収入金額が400万円以上の場合は確定申告が必要になります。

9.自営業者やフリーランスなどの個人事業主

自営業者やフリーランスなどの個人事業主は事業所得を得ています。

基礎控除や医療費控除などを差し引いた残りの金額が課税対象になるため、確定申告が必要です。

10.災害減免法が適用される人

災害減免法によって源泉徴収が猶予されている場合でも、確定申告が必要になります。

住宅や家財が災害によって損害を受けた場合に、一定の場合には災害減免法の適用が受けられます。

以下の要件を満たし災害による損失額について雑損控除の適用を受けない場合は、災害減免法によってその年の所得税が減軽・免除してもらえます。

1.保険金などで補填される金額を除いて被災した住宅や家財が時価の2分の1以上。
2.災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下。

所得金額の合計額と軽減・免除される額は以下の通りです。


11.一定の場合に該当する給与所得者

副業で20万円を超える収入を得た場合など、サラリーマンや公務員などでも確定申告が必要です。

さらに以下のような場合にも確定申告が必要になります。

全ての給与所得者が会社で年末調整を行っているわけではないため、以下のような場合には自分で手続きを行わなければなりません。

1.複数の会社から給与を受けている場合

2か所以上の会社から収入を得ている場合には、合算して確定申告します。

給与の全部が源泉徴収の対象となる場合に、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える場合には確定申告を行います。

年末調整されなかった給与とは、主に勤務している会社からもらっている主たる給与以外の給与のことです。

主たる給与を除いて、年末調整のされていない他の会社からもらった給与と、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える場合には確定申告が必要になります。

給与所得・退職所得以外の所得とは事業所得などのことです。

他の会社からもらった給与と、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下ならば確定申告が不要とされます。

また以下の例外規定に該当する場合も申告が不要になります。

(1). 給与の収入金額の合計額から雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下。

(2). 給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下。

国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」には、例外規定の2つ目の要件について「給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額」とありますが、事業所得などの合計という意味だと思われます。

給与収入金額の合計額から控除を引いた残りと事業所得などとの合計額が20万円以下と読むと意味が分かりません。

相当な額の控除が行われ、さらに事業所得などの額もわずかな金額でなければ要件を満たさなくなります。

最初の要件は150万円以下ではなく20万円以下などにしなければ意味がありません。

主に務めている会社から100万円の給与をもらい、他の会社からの給与が20万円で、その他に事業所得が5万円あると仮定します。

年末調整されていた給与収入:100万円
年末調整されていない給与収入:20万円
事業所得:5万円

この場合、他の会社からもらった給与は20万円を超えていませんが、事業所得が5万円あるので、合算すると25万円です。

年末調整されていない他の会社から受け取った給与と、事業所得の合計額が20万円を超える場合、基本的に確定申告が必要になります。

しかし例外規定によると、全ての給与収入から一定の所得控除を差し引いた額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下ならば申告不要です。

給与収入の総額が120万円ならば所得控除を考慮しなくても150万円を超えておらず、かつ、事業所得が5万円なので確定申告は不要となります。

2.給与の年間収入金額が2000万円を超える場合

給与が2000万円を超える場合には会社で年末調整が行われないので、自分で確定申告を行う必要があります。

一般的なサラリーマンであれば会社が年末調整で社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除など所得控除の手続きを行ってくれます。

しかし給与が2000万円を超えている場合には自分で確定申告をして所得控除の手続きを行います。

手続きの際には20万円以下の副業収入も含めて給与以外の所得を全て申告します。

ただし預金の利息や非上場株式の少額配当などは申告しなくても大丈夫です。

3.再就職して年末調整をしなかった場合

年度の途中で再就職をすると複数の会社から給料を受け取ることになります。

基本的に前の会社の源泉徴収票を提出すれば、現在の会社で給料を合算して年滅調整をしてもらえるため確定申告は不要です。

しかし前の会社の源泉徴収票を提出しない場合には年末調整が行われないので、自分で申告をしなければなりません。

結婚や出産などで仕事を辞めて再就職しなかった場合にも年末調整がされていないため、確定申告をすれば税金が戻ってくる可能性があります。

4.源泉徴収されない外国企業から退職金を受け取った場合

5.同族会社の役員などで同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている場合

・確定申告をした方がよい人

1.医療費控除を受ける場合

申告者自身や家族の医療費を10万円以上支払った場合には、医療費控除の対象となる可能性があります。

自分自身の医療費だけでなく、生計を一にする家族の分の医療費も対象とされます。

医療費控除は年末調整の対象ではないのでサラリーマンでも自ら申告しなければなりません。

2.寄付金控除を受ける場合

ふるさと納税など控除対象となる寄付を行った場合は寄附金控除の対象となります。

寄付金控除も年末調整の対象ではないのでサラリーマンでも申告が必要です。

ただし、ふるさと納税の場合は平成27年度から「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が導入されました。

サラリーマンなどの給与所得者で、ふるさと納税を納めた自治体が1年間に5つまでの場合は確定申告が不要です。

寄付金控除の対象団体は限定されているので、事前に控除を受けられるかどうか確認する必要があります。

3.雑損控除を受ける場合

自然災害や火災、盗難・横領などの被害を受けた場合には雑損控除を受けることができます。

雑損控除も年末調整の対象外なのでサラリーマンでも自ら申告を行います。

申告の際には災害による支出領収書や警察署・消防署の証明書が必要になる場合があります。

4.年末調整で控除の適用漏れがあった場合

扶養家族が増えた場合や配偶者と死別・離婚した場合、マイホームを取得した場合など、年末調整では納税者の状況に応じて税額負担の調整が行われます。

控除が受けられる何らかの事情があったにも関わらず、年末調整の際に書類の提出を忘れていた場合など、確定申告によって税金を取り戻すことができます。

年末調整の控除の適用漏れがあり、払い過ぎた税金を取り戻すための手続きが還付申告です。

5.複数の勤務先があるパート・アルバイト

それぞれの勤務先で源泉徴収が行われている場合には税金を払い過ぎている可能性があります。

確定申告をすれば払い過ぎた税金を取り戻すことができます。

6.住宅ローン控除を初めて受ける場合

サラリーマンなどの給与所得者でも、初めて住宅ローン控除を受ける場合には確定申告すれば税金が安くなります。

2年目以降は会社が年末調整で手続きをしてくれるので、自分で申告しなくても大丈夫です。

確定申告とは

・確定申告の手続きと期間について

所得税の確定申告は1年間の所得にかかる税金を計算し、税務署に納税額を報告する手続きのことです。

前年の1月1日から12月31日までの所得と納税額を計算して、翌年の2月16日から3月15日の間に税務署に報告と納税を行います。

期限日が土曜日や日曜日、祝日の場合は、休日明けの平日が期限とされます。

報告と納税は1年に1回決まった期間に行われますが、源泉徴収で払い過ぎた税金の還付を受ける手続きは翌年1月1日から申告でき、申告が可能となった日から5年以内であればいつでも可能です。

・確定申告を怠った場合のペナルティとは

確定申告を期限内に行わなかった場合には、以下のようなペナルティが発生します。

1.納税額に最高税率20%の無申告加算税が課税されます。
2.納税額の最高税率14.6%の延滞税が課税されます。
3.青色申告特別控除の枠が、最大65万円から最大10万円に減額されます。
4.2年連続で申告を遅滞した場合は、青色申告の承認が取り消されます。

・確定申告が必要となる場合とは

以下の4つのうちいずれかに該当する場合は確定申告をしなければなりません。

1.給与所得がある場合

給与所得のある人は年末調整で所得税などが精算されるのが通常なので、基本的に申告は不要とされます。

しかし以下の計算で残額があり、さらに(1)から(6)の要件のいずれかに該当する場合には確定申告が必要です。

計算式

a.各種所得の合計額-所得控除=課税所得金額

各種所得の合計額は譲渡所得や山林所得を含みます。

b.課税所得金額×税率=所得税額

c.所得税額-(配当控除+(特定増改築等)住宅借入金等特別控除)=残額

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除は年末調整の際に控除を受けたものです。

要件

(1).給与の収入金額が2000万円を超える。

(2).給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額の合計額が20万円を超える。

各種の所得金額の合計額は給与所得と退職所得を除きます。

(3).給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額との合計額が20万円を超える。

各種の所得金額は給与所得と退職所得を除きます。

給与所得の収入金額の合計額から所得控除の合計額を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額の合計額が20万円以下の場合は申告不要です。

所得控除の合計額は雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除きます。

各種の所得金額の合計額は給与所得と退職所得を除きます。

(4).同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた。

(5).給与について、災害減免法により所得税等の源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた。

(6).在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税等を源泉徴収されないこととなっている。

2.公的年金等にかかる雑所得のみがある場合

公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引いて残額があれば申告が必要です。

公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合は、所得税等の確定申告をする必要はありません。

3.退職所得がある場合

外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある場合は確定申告が必要です。

退職金などの支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、基本的に退職所得に係る所得税等は源泉徴収により手続きが完了するので、退職所得の申告は不要になります。

退職所得以外の所得がある場合は、給与所得がある場合やその他の場合を参照してください。

4.その他の場合

以下の計算式で残額があれば確定申告が必要です。

a.各種所得の合計額-所得控除=課税所得金額

各種所得の合計額は譲渡所得や山林所得を含みます。

b.課税所得金額×税率=所得税額

c.所得税額-配当控除=残額

公的年金等の収入金額が400万円以下、かつ、公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる場合、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下ならば、所得税等の確定申告は不要です。

住民税については「市区町村からのお知らせ」を参照してください。

上場株式等に係る譲渡損失と配当所得等との損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合など、1から4に該当しなくても確定申告が必要になります。

源泉分離課税の対象となる金融類似商品について

 ・金融類似商品は他の種類の所得と合算されません

金融類似商品の収益については、一律20.315%の税率による源泉分離課税が適用されます。

税率の内訳は所得税が15%で住民税は5%です。

平成25年1月1日から平成49年(令和19年)12月31日までの間に生じる所得は、所得税だけでなく0.315%の復興特別所得税も源泉徴収されます。

金融類似商品の収益は源泉徴収だけで課税関係が終了します。

源泉分離課税が行われる金融類似商品の収益などには以下の6種類があります。

1.定期積金の給付補てん金
2.銀行法第2条第4項の契約に基づく給付補てん金。
3.一定の契約により支払われる抵当証券の利息。
4.貴金属などの売戻し条件付売買の利益。

金投資口座の利益などが該当します。

5.外貨建預貯金で、その元本と利子をあらかじめ定められた利率により円又は他の外貨に換算して支払うこととされている換算差益。

外貨投資口座の為替差益などが該当します。

6.一時払養老保険や一時払損害保険などの差益。

保険や共済の期間が5年以下のものと、5年を超えていてもその期間の初日から5年以内に解約したものの差益に限ります。

これらの収益については他の所得と合算して確定申告をする必要がありません。

扶養親族などに該当しているかどうかを判断する場合には、合計所得金額からも除外されます。

・金融類似商品に該当した場合

5年満期一時払養老保険など金融類似商品に該当する場合、一定期間が経過すれば満期保険金を受け取ることができます。

契約者と受取人が同じ場合には、満期保険金を受け取ると一時所得として所得税の確定申告が必要になります。

しかし金融類似商品に該当する場合には、源泉分離課税なので他の所得と合算されません。

配当金を含む満期保険金や解約返戻金の受取金額と払込保険料の差額に対して、20.315%の税金が発生します。

生命保険会社は税金を控除した金額を受取人に支払うので、改めて確定申告をしなくても大丈夫です。

満期保険金は保険期間が5年を超える場合には一時所得とされ、確定申告が必要になります。

保険期間が5年以内の場合は金融類似商品に該当し、源泉分離課税が行われるので確定申告は不要です。

ただし保険期間が5年を超える場合でも、5年以内に解約した場合には金融類似商品に該当します。

10年満期の一時養老保険などを5年以内に解約して解約返戻金を受け取った場合は、一時所得とならず源泉分離課税が行われます。

5年満期の一時払養老保険が満期になった場合、源泉分離課税の計算式は以下の通りです。

(満期保険金-払込保険料)×20.315%=源泉分離課税額

税率の内訳
所得税:15%
復興特別所得税:0.315%
住民税:5%

生命保険会社は源泉分離課税額を控除した残りの満期保険金を受取人に支払って手続きが完了するので、確定申告は不要です。

・金融類似商品に該当するための要件

金融類似商品に該当するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。

1.保険期間

5年以下であること。

5年を超える場合には契約日から5年以内に解約すること。

2.払込方法

一時払いか次のいずれかに該当すること。

(1).契約日から1年以内に保険料総額の50%以上を払い込む方法。
(2).契約日から2年以内に保険料総額の75%以上を払い込む方法。

3.保障倍率

以下の両方に該当すること。

(1).次の金額の合計額が満期保険金額の5倍未満であること。

a.災害死亡保険金
b.疾病や傷病による入院・通院給付金日額に支払限度日数を乗じて計算した金額

(2).普通死亡保険金額が満期保険金額の1倍以下であること。

年末調整について

・年末調整とは

源泉徴収税の総額と本来徴収すべき所得税の1年間における総額比較した場合に、過不足金額が発生するのが一般的です。

過不足金額を調整する手続きが年末調整であり、余分に徴収されていた場合には差額を還付してもらえます。

毎月徴収される源泉徴収税はあくまで概算で、12月の年末調整で初めて具体的な金額が確定します。

年末までの間に給与金額が変更になったり、転職や家族構成の変化などで所得金額が変わることがあります。

年末までの1年間で所得金額が変化すれば、支払うべき所得税の税額も変化するので過不足金が発生します。

給与や賞与からの控除以外で社会保険料や各種保険料を支払っている場合も、過不足金が発生することがあります。

・年末調整の手続き

まず1月~12月の間に支払われた給与や賞与の総額と、源泉徴収税の総額を計算します。

支払いが確定している供与は、未払いの状態でも年末調整の対象です。

中途入社した従業員がその年に前職で給与を受け取っていた場合、前職分も年末調整の対象となります。

前職分が年末調整の対象となる場合には、前職の源泉徴収票を入手しなければなりません。

給与や賞与の総額が確定したら給与所得控除を差し引き、さらに各種所得控除を差し引きます。

各種所得控除額の計算には以下の書類が必要です。

1.扶養控除等(異動)申告書
2.配偶者特別控除申告書
3.自社の給与・賞与からの社会保険料控除額の情報
4.従業員が加入する生命保険・地震保険などの保険料控除証明書
5.給与・賞与以外で支払った社会保険料の保険料控除証明書
6.住宅ローン控除のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書

扶養控除等(異動)申告書は1月に回収して11月頃に従業員に配り、修正点などを確認した上で再び回収するケースが多く見られます。

年末調整の具体的な流れは以下のようになります。

1.給与・賞与の総額と源泉徴収税の総額を計算。

2.給与・賞与の総額から所得控除を差し引く。

3.(給与・賞与の総額-所得控除)-各種所得控除=課税給与所得金額

課税給与所得金額に1000円未満の端数がある場合は切り捨て。

4.国税庁が公開している「算出所得税額の速算表」を参考にしながら、課税給与所得金額から算出所得税額を計算。

5.算出所得税額-住宅ローン控除額=年調所得税額

住宅ローン控除を受けるためには基本的に自分で確定申告を行います。

サラリーマンなどの給与所得者は勤務先の会社が年末調整で還付申告をしますが、住宅ローン控除の手続きは申告が必要なので年末調整ができません。

そのため最初の1年だけは自分で確定申告を行う必要があります。

2年目以降は年末調整で控除されるので基本的に確定申告が不要です。

ただし以下のものを勤務先に提出します。

年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書

この書類は税務署から10月頃に全期間の控除分がまとめて送付されます。

給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

1枚の紙の上下に2種類の書類が印刷されています。

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

金融機関から住宅ローンを借りている場合に送付されます。

これらの書類を年末調整で提出し忘れると確定申告が必要になるので注意してください。

6.年調所得税額×102.1%=年調年税額

源泉徴収税の総額と年調年税額によって還付か徴収が決まります。

源泉徴収税の総額>年調年税額→還付
源泉徴収税の総額<年調年税額→徴収

7.1月10日までの源泉徴収税を納付する際には、税務署に所得税徴収高計算書を提出します。

所得税徴収高計算書の作成では年調年税額を反映させます。

源泉徴収税を納付するのと一緒に所得税徴収高計算書も提出しますが、納期の特例を申請している場合の源泉徴収税額は半年分です。

年末調整によって還付金の調整が確認できた場合には、1月10日までに支払う源泉徴収税で調整します。

8.年末調整で従業員に精算を行った後は、以下の書類を作成・提出します。

源泉徴収票(給与支払報告書)を作成、1月31日までに源泉徴収票を本人に交付。

法定調書合計表と、必要条件を満たす従業員分の源泉徴収票を税務署に提出。

給与支払報告書を各従業員の所在地の市区町村に提出。

給与支払報告書は個人明細票と総括表に分類できます。

いずれも市区町村に提出しますが、個人明細票と源泉徴収票は内容が同じなので混同されるケースが多く見られます。

個人明細票は市区町村に提出し、源泉徴収票は本人に交付したり税務署に提出します。

内容が同じでも個人明細票と源泉徴収票は全く違うものなので注意が必要です。
 

所得税の源泉徴収制度とは

 ・源泉徴収制度とは

所得税は毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税される税金で、サラリーマンは会社が給料から天引きして代わりに納付してもらえます。

年間の所得に課税される税金を事業者が予め給与から差し引くこと源泉徴収と呼びます。

従業員の給与を支払う事業者は必ず源泉徴収を行わなければなりません。

事業者が源泉徴収を行えば従業員は確定申告をする必要がなく、毎月の給与から少額ずつ所得税を納付できます。

源泉徴収制度によって国は安定的に税収を得ることができるだけでなく、確実に所得税を徴収することが可能となります。

従業員を雇用した場合には雇用日から1か月以内に管轄の税務署に対して届出が必要です。

この届出では「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出することになります。

「個人事業の開業等届出書」の提出時に給与の支払いが発生することを申請した場合、再度の提出は不要です。

源泉徴収をするには前提としてまず従業員の給与から必要な控除を行います。

事業主は各従業員にどのような控除が適用されるのかを把握することが重要です。

従業員を雇用した場合には該当する年度の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいます。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」からは「控除対象配偶者の有無」や「扶養親族の有無」、「従たる給与(本業以外の給与)に該当するか否か」が分かります。

・源泉徴収の手続き

1.給与の場合

給与の源泉徴収では国税庁が定める「給与所得の源泉徴収税額表(月額表および日額表)」を使って、給与所得や扶養親族の数などに応じた源泉徴収額を算出します。

対象者は以下の2つのパターンに分類されます。

甲:1つの企業から給与を受け取っている従業員。
乙:複数の企業から給与を受け取っている場合や、「扶養控除等(異動)申告書」が提出されていない場合。

該当する月の社会保険料を控除した給与所得と、甲や乙が該当する箇所を参照して具体的な金額を計算しますが、通勤費は非課税なので除外されます。

最近では給与計算ソフトを使って自動計算で源泉徴収額を算出する企業が増えています。

給与計算ソフトを使えば給与所得の源泉徴収税額表を参照しなくても計算が可能です。

ただしソフト上で計算を行うには甲乙の種別や社会保険料を控除した給与所得を入力しなければならないので、計算方法を理解しておく必要があります。

2.賞与の場合

賞与の源泉徴収税額は国税庁が定める「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使って計算を行います。

最初に前月の給与の社会保険料を控除した給与所得を確認し、該当する「扶養親族等の人数」の列から「賞与の金額に乗ずべき率」を参照します

賞与の源泉徴収税額も給与と同じようにソフトを使って計算するのが一般的ですが、計算方法を理解しておくことが大切です。

3.退職金の場合

退職金の源泉徴収税額の計算には、国税庁が定める「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の計算方法」をつかいます。

退職所得控除額は勤続年数によって以下のようになります。

20年以下の場合:40万円×勤続年数
20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

この計算式で算出した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額が80万円になります。

障害者になったことが直接の原因で退職した場合、上記の計算式で算出した金額に100万円が加算されます。

勤続年数に1年未満の端数がある場合は、端数が1日でも1年として計算します。

例えば勤続年数が14年1か月の場合には15年とされます。

退職金から退職所得控除額を差し引いた金額を、さらに2分の1にした金額が課税退職所得金額です。

退職所得の源泉徴収税額の速算表から、課税退職所得金額ごとの所得税率や控除額を参照して、退職金の源泉徴収税額を計算します。

算出した所得税額について端数処理は行われません。

退職所得の源泉徴収税額の速算表は以下の通りです。

具体的な税額は「(課税退職所得金額×税率)-控除額」で求めます。


4.報酬・料金などの場合

弁護士や税理士、社会保険労務士などと顧問契約を締結している場合には報酬や料金が発生します。

報酬や料金についても源泉徴収を行う必要があり、支払金額によって計算式は以下のようになります。

100万円以下の場合:支払金額×10.21%
100万円超の場合:(支払金額-100万円)×20.42%+10万2100円

司法書士や外交員、講演料など業種によって計算方法や控除額が異なるので、国税庁のホームページで公開されている「源泉徴収のしかた」を確認してください。

・源泉徴収税の納付について

事業主が源泉徴収税を集めた場合には、翌月の10日までに管轄の税務署に納付しなければなりません。

従業員の数が常に10人未満の場合は、納付の際に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出します。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出すれば半年に1回まとめて源泉徴収税を納付できます。

1月~6月までの分は7月が、7月~12月までの分は翌年の1月が納付期限です。

・源泉徴収票と支払調書

源泉徴収票は会社が徴収した金額を通知するための書類で1年間における収入や所得、源泉徴収税額が決まる毎年12月か翌年1月に発行します。

年末調整業務で作成した源泉徴収票を各従業員に配布しますが、中途退職の場合には退職時に発行することになります。

支払調書は弁護士や税理士、フリーランスの源泉徴収について発行するものです。

その年における支払金額の合計額が5万円を超える場合には、支払調書を税務署に提出する必要があります。

実務上は発行するのが一般的ですが弁護士や税理士、フリーランスなどへの発行は法的な義務ではありません。

所得税が課税される所得の種類とは

・収入と所得の違いについて

所得税は1年間の個人の所得に課税される税金で、所得は給与所得や不動産所得、事業所得など10種類に分類されます。

課税対象になる所得とは収入から必要経費を差し引いたものです。

確定申告書を記入する際には収入金額と所得金額を混同してしまうケースが多く見られます。

収入とは1年間に得たお金の総額で個人事業主は事業収入、サラリーマンは給料です。

所得は収入から必要経費を控除したもので、サラリーマンの場合も勤務にかかる経費として給与所得控除が収入金額に応じて認められています。

・所得税の課税方法

所得税の課税方法は以下の3種類です。

1.源泉分離課税

他の所得とは関係なく所得を受け取る際に一定の税額が源泉徴収され、全ての手続きが完了します。

金投資(貯蓄)口座の所得なども源泉分離課税の対象となります。

2.総合課税

確定申告で他の所得と合わせて税金を計算します。

3.申告分離課税

確定申告で他の所得と分離して税金を計算します。

・所得の種類

所得は大きく以下の10種類に分類できます。

1.事業所得(営業等・農業)
2.不動産所得
3.利子所得
4.配当所得
5.給与所得
6.雑所得
7.譲渡所得
8.一時所得
9.山林所得
10.退職所得

源泉分離のものは以下の通りです。

1.利子所得のうち公社債や預貯金の利子など。

2.配当所得のうち特定目的信託の社債的受益権の収益の分配など。

3.雑所得で公社債の償還差益のうち、一定の割引債の償還差益など。

4.一時所得のうち保険・共済期間が5年以下の一定の一時払養老保険や一時払損害保険など。

総合課税のものは以下の通りです。

1.事業所得のうち商・工業や漁業、農業、自由職業などの自営業から生じるもの。

2.不動産所得。土地や建物、船舶や航空機などの貸付けから生じるもの。

3.利子所得のうち国外で支払われる預金等の利子など。

4.配当所得のうち、法人から受ける剰余金の配当、公募株式等証券投資信託の収益の分配など。申告分離課税を選択した場合を除きます。

5.雑所得のうち国民年金、厚生年金、確定給付企業年金、確定拠出企業年金、恩給、一定の
外国年金など。

6.譲渡所得のうち ゴルフ会員権や金地金、機械などを譲渡して得たもの。

7.一時所得のうち生命保険の一時金、賞金や懸賞当せん金など。

申告分離課税のものは以下の通りです。

1.事業所得のうち事業規模で行う、株式等を譲渡したことによる所得や先物取引に係るもの。

2.配当所得のうち上場株式等に係る配当等や、公募株式等証券投資信託の収益の分配などで申告分離課税を選択したもの。

3.雑所得のうち事業規模を除いて業として行う、株式等を譲渡したことによる所得や先物取引に係る所得。

4.譲渡所得のうち土地や建物、借地権、株式等を譲渡したことによる所得。株式等の譲渡については、事業所得や雑所得となるものを除きます。

5.山林所得。所有期間が5年を超える山林(立木)を伐採して譲渡したことなどで得たもの。

6.退職所得。退職金、一時恩給、確定給付企業年金法及び確定拠出年金法による一時払の老齢給付金など。