日本における各種税金の違いについて

・所得税

所得税は1年間で個人が得た所得に課税される税金で、所得の種類には給与所得や不動産所得、事業所得などが存在します。

収入の全てに課税されるわけではなく、必要経費や所得控除などを差し引いた金額で計算が行われます。

必要経費などを差し引いた額から税額を算出したら、さらに所得金額に応じて一定額が控除されることになります。

2013年(平成25年)からは25年間にわたって復興特別所得税が課税されています。

復興特別所得税の税額は基準所得税額×2.1%です。

具体的な計算方法は以下のようになります。

収入-必要経費=所得
所得-所得控除=課税所得金額

課税所得金額×税率-控除額=基準所得税額
基準所得税額×2.1%=復興特別所得税額

基準所得税額+復興特別所得税額=納税額

所得税率と控除額は以下のようになっています。


所得税関係の控除の種類と控除対象は以下の通りです。

1.必要経費(収入)
2.所得控除(所得)
3.所得金額に応じた控除額(税額)
4.税額控除(税額)

所得金額から差し引かれる所得控除には医療費控除や寄付金控除、扶養控除など14種類が存在します。

適用される所得控除の額と種類が増えるほどより多くの節税効果があります。

税額控除には住宅ローン控除などがあり、税額から直接的に差し引くことができます。

・住民税

住民税は都道府県や市区町村が行う行政サービスの費用を住民が分担するための税金です。

所得税は国税に該当し、前年の所得に対して課税されます。

住民税は地方税に該当し、前年の所得に対して翌年の6月から徴収が始まります。

普通徴収の場合は毎年6月に税額通知書が納税義務者に送付されますが、サラリーマンの特別徴収の場合は事業主が6月から翌年の5月まで12回に分けて給与から天引きして納付します。

住民税には法人に課税されるものと、個人に課税されるものがあります。

一般的に住民税と呼ばれるのは個人住民税です。

個人住民税の税率は所得金額に関わらず一定で、所得税とは異なり均等割と所得割の2種類があります。

都道府県と市区町村の均等割と所得割はそれぞれ以下のようになっています。


この均等割と所得割は標準税率なので、実際は都道府県や市区町村によって異なる可能性があります。

住民税はふるさと納税をすると特別控除を受けることができます。

・法人税

法人税は法人の所得金額などに課税される税金です。

所得税のような細かい所得の種類はなく、全ての所得を合算して計算します。

会社の状況に関わらず所得控除などが行われることはありません。

所得税は1月1日から12月31日までの個人の所得に課税されましたが、法人税は会社が決めた事業年度の所得に対して課税されます。

法人税の税率は所得金額に関わらず一定で以下のようになっています。


資本金が1億円以下の中小企業については、平成31年度から負担を軽くするための措置が存在します。

所得金額のうち年800万円以下の部分が中小企業者等の法人税率の特例で15%となっています。

平成29年度の税制改正では中小企業者のうち適用除外事業者について、租税特別措置法上の特例の対象から除外されることとなりました。

中小企業のうち適用除外事業者は平成31年から年800万円以下の部分が19%とされます。

法人税は各種税額控除を活用したり、事業関連の交通費や交際費などを経費にすることが可能です。

他にも消費税の免税期間を延長するなど様々な節税方法が存在します。

・相続税

人が死亡した場合には、所有していた財産や債務を相続人が受け継ぐことになります。

相続人が取得した財産に課税されるのが相続税です。

ただし国への寄付や生命保険の一部、墓地や仏壇などには相続税がかかりません。

相続税の計算方法は以下の通りです。

1.課税標準額の計算

財産を合計して債務を控除します。

2.課税標準基礎金額の計算。

取得したプラスの財産の額から基礎控除を差し引きます。

基礎控除額は以下の通りです。

基礎控除=3000万円×(600万円×法定相続人の数)

法定相続人が増えるほど基礎控除額も増加します。

3.相続税の総額を計算

相続税の税率は以下の通りです。


4.各相続人の相続税額を計算

相続税の総額を実際に各相続人が取得した財産に応じて按分します。

5.各相続人の納税額を計算

各相続人ごとに未成年者控除や配偶者の税額軽減などを行い、具体的な納税額を算出します。

・贈与税

生前贈与を行って相続財産を減らすと相続税を節税できますが、贈与をしなかった人と比較して税負担に不公平が生じます。

税負担の不公平を是正する補完税として、贈与を受けた人に課税されるのが贈与税です。

相続税よりも基礎控除額が少なく、税率の累進性が高いという特徴があります。

贈与税は年間で110万円までの基礎控除が認められており、基礎控除額を差し引いて課税価格を算出します。

具体的な贈与税の計算方法は以下の通りです。

贈与額-基礎控除額=課税価格

(課税価格×税率)-控除額=納税額

課税価格に税率を掛けた金額から控除額を差し引いて計算します。

贈与税の税率と控除額は以下の通りです。


・不動産取得税

土地や建物などの不動産を取得した場合には都道府県が不動産取得税を課税します。

不動産取得税が課税されるのは土地などを取得したときだけです。

登記を申請すると都道府県税事務所などから納税通知書が送付されてくるので、通知書に従って納付します。

不動産取得税は売買だけでなく不動産の贈与を受けた場合などにも課税されます。

ただし相続や法人の合併など形式的な移転の場合は非課税です。

不動産取得税の税率は以下のようになっています。

1.土地と住宅:課税標準額×3%

本則は4%ですが令和3年3月31日まで特例で3%です。

2.事務所や店舗:課税標準額×4%

不動産取得税には新築住宅や長期優良住宅の軽減特例などが設けられています。

例えば長期優良住宅を購入した場合は1戸につき1300万円まで非課税とされます。

この場合の税額は(評価額-1300万円)×3%で計算します。

新築住宅などの特例を利用するためには様々な要件を満たすだけでなく、確定申告が必要になる場合もあります。

・消費税

消費税は日本国内で事業者が対価を得て行った資産の譲渡や貸付、役務の提供について課税される税金です。

2019年10月1日には8%から10%に引き上げられましたが、同時に軽減税率も導入されています。

消費税の軽減税率は食料品と新聞に限って税率を低くする制度です。

税率が上がると高所得と比べて低所得者の負担が重くなります。

生活に欠かせない食料品や新聞の税率を低くし低所得者の負担を軽くする目的で軽減税率が導入されました。

軽減税率は8%で、対象品目は酒類や外食を除く飲食料品と新聞の定期購読料です。

小売事業者は軽減税率が導入されると8%と10%という2種類の税率を使い分けなければなりません。

POSシステムの更新や新聞のレジの入れ替えなど負担が生じるので、当面は区分記載請求書等保存方式が認められています。

この方式では8%か10%となる対象ごとに合計額を記載すれば足ります。







不応為罪とは

・昔の日本では裁判官の主観で人を裁くことができました

不応為条は律令法で定められた規定の1つで、法令に該当条文がない場合に裁判官が情理に基づいて処罰することを認めた条文です。

律令法は律令格式などの制定法と、平安時代に律令に基づいて成立した各種の慣習法を含みます。

645年の大化の改新以後に中央集権的国家が制定した公法体系のことです。

情理とは人情と道理、人間らしい感情を意味します。

不応為条は不応得為条とも呼ばれており、条文がない場合には裁判官の主観で裁くことができました。

757年に施行された養老律令には不応為条の規定があります。

法令に定めた罪に該当しなくても道徳や道理の観点から問題があると裁判官が判断すれば刑罰を科すことができました。

ただし不応為条で刑罰を科すことができたのは軽犯罪に限られ、刑罰は笞罪や杖罪など軽いものです。

日本の法律では不応為条が長年にわたって維持され、明治時代に制定された新律綱領と改定律例にも採用されています。

新律綱領と改定律例に基づいて処分された事件は不応為罪とも呼ばれます。

・取りやすいところに課税する酒税と消費税

造酒税の度重なる増税に苦しむ酒造業者を救うため、自由民権運動の指導者植木枝盛は1881年11月に翌年5月1日に大阪で全国規模の酒屋会議を招集して減税と営業の自由を求める内容の檄文を作成しました。

この檄文に署名した島根県の小原鉄臣ら酒造業者5名は不応為罪で禁固刑になっています。

しかし明治政府は植木枝盛が所属していた自由党を刺激したくなかったので、植木の容疑は不問としました。

現代に例えるのならば、全国の小売業者を集めて消費税の減税を求める会議を開こうとしたところ、呼応した小売業者を禁固刑にするようなものです。

明治政府はたまたま生産量が多く課税しやすかった日本酒に課税しましたが、現代の消費税も状況は似ています。

日本の国債の多くは日銀が購入しており、日本は海外に対する借金よりも債権の方が多い国です。

官僚は財政再建や高齢化による社会保険負担の増大などを消費税増税の理由にしているかもしれません。

しかし実際は天下り先を確保するため取りやすいところに課税したいというのが本音です。

政治家はまともな政策立案能力もなく足の引っ張り合いをしているだけなので、

官僚が自己保身に走るのは当然と言えます。

財政赤字を解消したいのならば、国の機関と地方自治体を削減すればよいだけです。

例えば都道府県を廃止して人口300万人程度の市を作り、必要に応じて区を設置すれば無駄な職員や地方議員を削減できます。

限界集落に税金を投入したところで過疎化が止まることはありません。

それならば都市部に人口を集中させて需要と雇用を生み出し、医療・福祉制度の効率化を図る方がマシです。

バブル崩壊以後の日本では度重なる消費税の増税によって経済が停滞し続けました。

国民は素人なのでまともな政権批判能力がありません。

政治家は政策立案能力がなく先生と呼ばれたいだけの目立ちたがり屋です。そもそもちやほやされたいだけなので、日本の現状や将来に興味はありません。

官僚は政治家が無能なので頑張って働いても無意味です。何かあったときに責任を取りたくありません。天下り先と予算を確保したいと考えています。

現状を維持するのに最も簡単なのは取りやすい消費税を増税することです。

今後も消費税が何度も増税され経済が停滞し続けて日本は貧困国になるでしょう。

若い世代の人たちは早めに海外脱出の準備をしていた方がよいかもしれません。

・不応為罪は1882年に廃止されました

不応為条と断罪無正条には裁判官が独断で処分を行う危険性がありますが、東洋の刑事法は絶対的法定刑の要素が強かったため弾力的な運用を可能とする効果もありました。

断罪無正条とは律令法の規定の1つで、法令に該当条文がない場合に類似する罪の類推適用を認めるものです。

絶対的法定刑とは刑種や刑期について裁量的な選択の余地がないもので、現代の刑法では外患誘致罪(刑法81条)があります。

外患誘致罪の法定刑は死刑のみで未遂罪も処罰されます。

死亡者が発生しなくても死刑となる可能性がありますが、法定減刑や酌量減軽は可能です。

法定減刑の事由には過剰防衛や心神耗弱などがあります。

不応為条と断罪無正条には法の欠缺を補充する機能と減刑機能があり、刑事法の弾力的運用を可能にするというメリットもりましたが、罪刑法定主義とは相容れない存在です。

欧米の刑事法において基本原則とされる罪刑法定主義は、犯罪を処罰するために法令で明確に罪と罰を定めておくことを求めます。

不応為条と断罪無正条は裁判官の裁量のみで刑事処分を認めた罪刑専断主義的な規定なので、罪刑法定主義では認められません。

1976年に法制学者の細川潤次郎らの意見で元老院において不応為条廃止が決議されました。

太政官と司法省は廃止の必要性を認めたものの法典整備まで決議内容の実施の引き延ばしを図ります。

元老院は新法制定と旧法改定を目的とする明治初期の立法機関です。

議案は天皇の命令として正院(太政官職制の最高機関)や後の内閣から下付されました。

緊急の場合は事後承認するだけになることもあり、権限は強くありません。

太政官はもともと日本の律令制において司法と行政、立法を司る最高機関でした。

長は太政大臣ですが、通常は左大臣と右大臣が長官の役割を担っています。

1968年6月11日に公布された政所体に基づいて設置された幕末から明治にかけての官寮名も太政官です。

1869年の官制改革では民部省以下6省を管轄することになり、後に長官として太政大臣が置かれます。

1885年に内閣制度が発足したため廃止されました。

刑法(明治13年太政官布告第36号)は1880年に公布され、現在の刑法と区別するため旧刑法と呼ばれています。

旧刑法は1882年に施行されたため、明治15年刑法とも呼ばれます。

元老院による不応為条廃止決議に対する回答は明治15年刑法の公布までなされませんでした。

さらに明治15年刑法には罪刑法定主義が盛り込まれ不応為条が廃止されることになったため、明治政府は決議を却下します。

1876年の不応為条廃止決議は1882年に旧刑法が施行されるまで延命されました。

不応為条が廃止された当初は裁判官が新しい法解釈に慣れておらず、無銭飲食や宿泊を詐欺罪と判断できず無罪判決を出す誤審が発生し大審院で原判決が破棄されるなどの混乱が起きています。