経済学における微分の処理方法

目次

1.微分とは

2.偏微分とは

1.微分とは

 微分とはある関数の各点における接線の傾きのことで、傾きは変化の割合を表しています。

 接線の傾きは微分係数と呼ばれており、グラフの縦軸をf(x)、横軸をxとした場合に様々なxの値における微分係数を集めて関数と見なしたものが導関数です。

 微分係数はある点における接線の傾きを表す値ですが、導関数は関数という違いがあります。

 関数とはある値同士の関係を表す概念です。

 例えばy=5xという式で考えると、xが1のときyが5、xが2のときy25のように、xの値が決まることでyの値も1つに確定します。

 xの値が決まるとyの値が1つに決まるとき、yxの関数といえます。

 導関数とは値を入力するとその値における微分係数を返してくれる関数です。

 一般的にある点における接線の傾きを微分と呼び、導関数を求めることを微分すると表現します。

 2.偏微分とは

 xyなど複数の変数を含む関数が多変数関数です。

 多変数関数に含まれる特定の文字以外を定数と見なして微分したものを偏微分と呼びます。

 3.微分の計算問題を処理するには

 5X3+4X2+3X+2Xで微分する場合

d(5X3+4X2+3X+2)/dX

もしくは∂(5X3+4X2+3X+2)/∂Xと表記します。

 ddifferential(微分)の頭文字で、分数の形式で微分することを表現しています。

dの代わりに偏微分を表す∂を使うこともあります。

 5X3+4X2+3X+2Xで微分することを、

(5X3+4X2+3X+2)’とも表記できます。

 5X3+4X2+3X+2Xで微分する様々なパターンは以下の通りです。

 . 5X3Xで微分する。

 (5X3)’

53X3-1

15X2

 . 4X2Xで微分する。

 (4X2)’

42X2-1

8X

 . 3XXで微分する。

 (3X)’

31X1-1

3

 .2という数値(定数)Xで微分する。

 (2)’0

 定数を微分すると0になります。

 微分の処理では指数(肩の数値)を降ろして、1を引きます。

降ろした肩の数値はXの横の数値に掛けます。

 1乗のものを微分すると1になるので以下のように表現できます。

 X01

 そのため3Xを微分すると以下のようになります。

 (3X)’(3X1)’

31X1-1

311

3

 偏微分の処理パターンには以下のようなものが存在します。

 . 3X2Y3Xで微分する。

 (3X2Y3)’

d(3X2Y3)/dX

32X2-1Y3

=6XY3

 . 3X2Y32XY1Xで微分する。

 (3X2Y32XY1)’

d(3X2Y32XY1)/dX

32X2-1Y321Y0

=6XY32Y

 . 3X2Y3Yで微分する。

 (3X2Y3)’

d(3X2Y3)/dY

32X2Y3-1

=6X2Y2

 Yが最大化するXを求める場合にはdY/dX=0になります。

 Xが変化してもYは最大化されていて変化しない状態なので、YXで微分した値は0です。

 

 


経済学の学び方について

1.ミクロ経済学とは

経済原論はミクロ経済学とマクロ経済学で構成されています。

前者は個別の経済主体の行動を分析する学問です。

消費者理論は個々の消費者の経済行動を分析対象としており、生産者理論は個々の生産者(企業)の経済行動を分析対象とします。

市場の理論は消費者と生産者による取引が行われる市場の経済現象が分析対象です。

経済理論は現実の経済現象を、モデルを使って説明しようとします。

ミクロ経済学では経済主体による満足度を最大化する行動の結果として現実を説明する点に特徴があります。

例えば消費者がスーパーでリンゴを5個購入したと仮定します。

ミクロ経済学では消費者が自分の収入を考えて満足度を最大化しようとした結果、実際にリンゴ5個を購入したと消費行動が説明されます。

満足度最大化のような仮説が現実の経済現象を客観的に説明できるとき、その仮説が現実の分析に有効な道具と認められることになります。

消費者理論では消費者が満足度を最大化すると仮定しましたが、生産者理論では生産者が利潤を最大化すると仮定します。

ミクロ経済学では消費者と生産者、市場の経済行動を説明するために2つの論点を組み合わせた図が使われます。

例えば消費者理論では「予算線と無差別曲線」、生産者理論では「限界収入と限界費用」、市場の理論では「需要曲線と供給曲線」などの図が出てきます。

ミクロ経済学の問題を解くためには、これらの図の使い方を覚えることが大切です。


2.マクロ経済学とは

マクロ経済学は一国の経済全体の動きを、モデルを使って説明する学問です。

もともとは経済学者ケインズの理論に基づいており、現実の国民所得水準をモデルで客観的に説明します。

また国民所得を増やすために政府が発動する財政・金融政策の効果の分析も行います。

45度線モデルとIS-LMモデル、AD-ASモデル、インフレ需要曲線=インフレ供給曲線モデルが、政府による財政・金融政策の効果を分析するために使われます。

これらのモデルは2本の線分で構成されており、線分の移動で財政・金融政策の効果を判断します。

さらにマンデル=フレミング・モデルでは海外との取引を含めて財政・金融政策の効果の分析を行います。